2022年10月に発売したApple M2チップ搭載のiPad Proは、ストレージ容量によってメモリ(RAM)の容量が違います(2021年5月に発売したApple M1チップ搭載のモデルも同様)。
具体的には、ストレージの容量によって、メモリが8GBと16GBの2種類のモデルが存在します。
8GB RAM:128GB、256GB、512GBストレージ搭載
モデル 16GB RAM:1TBまたは2TBストレージ搭載
モデル
iPad Proはストレージ容量によって、ストレージだけでなく、メモリのスペックも変わるという事です。
関連記事:iPad Proのストレージ容量は何GBがオススメなのか?
iPad Proのメモリは何GBがオススメなのか?
iPad Proのメモリは8GBと16GBのどちらがオススメなのか解説します。
カジュアルな利用なら8GBで十分
iPad Proをメールや動画閲覧、SNSの利用などカジュアルに利用するなら、メモリは8GBで十分です。
(非公式の情報ですが、)iPhoneのメモリは4~6GBとなっています。
- 4GB:iPhone SE(第3世代)、iPhone 13、iPhone 13 mini
- 6GB:iPhone 14シリーズ、iPhone 3 ProとiPhone 13 Pro Max
つまり、iPad Proの利用目的が、ネット検索(情報収集)やメール、SNS、ニュースチェックなど、iPhone(スマホ)と特に変わらないのであれば、8GBで(余程のへビーユーザーでもない限り)十分と言えるでしょう。
動画の閲覧も8GBでOKです。YouTubeやNetflix、Prime Videoなどのストリーミング配信の場合、重い動画を再生するにはiPad Proの性能よりも(性能だけでなく)インターネット環境が大事ですし、iPad Proに保存した動画を再生するなら大した性能は必要ありません。
世の中には4Kや8Kといった高画質で重い動画も存在しますが、iPad Proの画面はそもそも4Kや8Kに対応していないので、再生する機会は無いはずです(再生しても高画質で表示されないのであまり意味がありません)。
ゲームも、iPad Proでプレイできるゲームは基本的にアプリゲームかブラウザゲームで、パソコンのゲームやVRの様に重いゲームをやる事は無いので、余程のゲーマーでもない限り8GBで足りるはずです。
総じて、iPad Proを”情報を受け取る”事に利用するなら、メモリは8GBで問題ありません。
イラストや動画編集、仕事での利用なら16GBを検討
iPad Proを”情報を受け取る”事に利用するだけなら、メモリは8GBで問題ありません。
しかし、iPad Proでイラストを描いたり、動画を制作したりと、クリエイティブな作業をするならメモリは16GBを検討した方が良いかもしれません。
例えばPhotoshopやCLIP STUDIO PAINTなど、本格的なアプリを使ってレイヤー数の多いイラストを描くなら、メモリは16GBの方が良いです。
アプリによっては、メモリに応じて使用できるレイヤーの数に制限があるものもあります(例:「8GBはレイヤー数50、16GBはレイヤー数100」みたいな感じ。数字は適当です)。なので、もし具体的に利用したいアプリがあるなら、メモリによって機能が制限されないかも事前にチェックしておいた方が良いでしょう。
動画編集に関しても同様で、4Kなど重い動画を扱ったり、複数の動画を重ねたり、効果を多用するなら、メモリは16GBあった方が良いでしょう。
マルチタスク機能は使う?
iPadOSにはマルチタスク機能が備わっており、複数のアプリを同時に使うことができます。パソコンでいう「二窓」です。
動画を見ながらSNSをチェックしたり、資料を表示しながら作業をしたりといった事ができます。
複数の作業(アプリ)を同時に行う場合は、多くのメモリを必要とするので、マルチタスク機能の多用が考えられる場合も16GBを検討した方が良いでしょう。
iPad Proのメモリを選ぶ際の注意点
iPad Proを購入するにあたり、メモリについて知っておくべき注意点を解説します。
8GBと16GBの価格差
iPad Proはメモリが8GB(ストレージが512GB以下)と16GB(ストレージが1TB以上)のモデルで価格が大きく異なります。
Appleの公式オンラインストアの場合、以下の価格になります(税込)。
iPad Pro(12.9インチ) | iPad Pro(11インチ) | |||
Wi-Fi | Wi-Fi+Cellilar | Wi-Fi | Wi-Fi+Cellilar | |
128GB | 172,800円 | 196,800円 | 124,800円 | 148,800円 |
256GB | 188,800円 | 212,800円 | 140,800円 | 164,800円 |
512GB | 220,800円 | 244,800円 | 172,800円 | 196,800円 |
1TB | 284,800円 | 308,800円 | 236,800円 | 260,800円 |
2TB | 348,800円 | 372,800円 | 300,800円 | 324,800円 |
512GBと1TBで6万円近く価格が違うのが分かると思います。
メモリが16GBのiPad Proを購入するには相応の予算が必要です。
後からメモリ増設は不可能
パソコンの中には、メモリを後から自分で増設できるものもあります。しかし、iPad Proの場合はメモリを後から増設する事は不可能です。
iPad Proのメモリ容量を選択できるのは購入時のみです。
ストレージ容量であれば、後から外付けHDDやUSBメモリ、クラウドストレージ(iCloud DriveやDropboxなど)などを使って疑似的に容量を増やすことが出来ます。
しかし、メモリ(RAM)はそうした方法で後から増やすことも出来ません。後からどうしてもメモリを増やしたくなった場合は本体ごと買い直す必要があるので注意しましょう。
メモリが多くてもフルに利用できる訳では無い
iPad Proには8GBと16GBの2種類のメモリが用意されていますが、それぞれ8GB・16GBをフルに使って作業が出来るわけではありません。
iPad Proは複数のアプリを同時に利用できるように(マルチタスクのために)、1つのアプリにメモリを全て割り当てないように設計されています。
当初、iPad Proはメモリの容量に関係なく、実行中のアプリに最大で5GBしかメモリを使用しないように設計されてました。そのため、例え16GBのメモリを搭載していても、使用しているアプリで利用できるのは5GBまでとなっており、高い性能を活かすことが出来ませんでした。
その後、iPadOSがアップデートされ、iPad Proはメモリ容量が16GBのモデルで最大12GB、8GBモデルでは6GBを利用することが出来るようになりました。
上限が緩和されたのは嬉しいことですが、それでも搭載しているメモリを1つのアプリが最大限活用する事は出来ません。また、iPad Pro側のメモリが十分でも、アプリ側が8GBや16GBなど大容量のメモリに対応していない可能性もあります。
この点には注意しましょう。
iPad Airのメモリも8GB
実は2022年に登場したiPad Air (第5世代)のメモリ(RAM)も8GBになっています(iPadとiPad miniは非公開ですが、iPadが3GB、iPad miniが4GBと判明しています)。
つまり、iPad Proのメモリが8GBのモデル(ストレージが128GB~512GBのモデル)とiPad Airは、メモリの容量を含むApple M1の性能だけで見ると同じなのです。
それでいて、iPad Airであれば、iPad Proの一番安いモデル(11インチiPad Pro 128GBモデル)より、さらに2万円も安く入手できます。
iPad Pro(11インチ、128GB) | iPad Air(64GB) | |||
Wi-Fi | Wi-Fi+Cellilar | Wi-Fi | Wi-Fi+Cellilar | |
128GB | 124,800円 | 148,800円 | 92,800円 | 116,800円 |
もちろん、iPad ProとiPad Airではメモリ以外の性能や搭載している機能が違うので単純に比較できません。
しかし、カジュアルな利用を想定していて、メモリは8GBでも良いと考えている場合、iPad Airも良い選択肢になる可能性があります。
まとめ:基本的には8GBで十分
iPad Proのメモリは基本的には8GBで十分です。
iPad Proの購入理由がネット閲覧(情報収集)やメール、SNS、読書、動画視聴など、”情報を受け取る”用途なら8GBで問題ありません。
イラストを描いたり、動画編集をするという方も簡単な作業をするだけであったり、本格的な作業はパソコンで行うという方であれば8GBで十分です。
逆に、iPad Proでレイヤーの多いイラストを描いたり、効果や容量が多い動画編集作業をしたりなど、本格的にクリエイティブな作業を多くこなしたいなら、メモリは16GBを選んだ方が良いでしょう。
多くの方はiPad Proを新型が出るたびに買い替えたりしないと思うので、今は良くても、今後数年間利用する事を考えれば、アプリがより多くのメモリを必要とするように進化する事も考えて16GBを選択した方が安心です。
イラストに関しては、多くのイラストレーターさんがiPad Proを実際に使ってみたレビュー動画をYouTubeに投稿しているので、自分が使っている・使ってみたいイラスト制作アプリで検索して参考にしてみると良いと思います。
身も蓋もない話ですが、予算に余裕があるなら、16GBを購入しておくと良いでしょう。”大は小を兼ねる”という考え方です。
基本的に、メモリが多いことのデメリットは価格が高いことだけなので、その点さえクリアできるなら、16GBを選んでおけば後悔する事は無いはずです。
関連記事:iPad Proのストレージ容量は何GBがオススメなのか?
参考
- iPad でマルチタスク機能を使う – Apple サポート (日本)
- いよいよ予約開始となる新型iPad Pro!RAMは8GBにすべきか、16GBにするべきか!?それが問題だ… – YouTube
- iPad Proのメモリは16GB必要?8GBとどっちがいいか違いを確認 | satoshiとiPad Pro
- M1 iPad Proでアプリが使用可能な最大メモリは5GB – ITmedia NEWS
- iPadOS15でアプリのRAM制限緩和、M1搭載iPad Proで12GB割当可能 – iPhone Mania
- 【最新版】iPhone/iPadのメモリ(RAM)容量一覧【歴代全機種】 | ウサガジェ
- スマホ何に使う?若者SNSと音楽、年配は天気予報 – ストリーミング人気もサブスク契約率は低い | Beyond(ビヨンド)
- M2になった新「iPad Pro」登場 12万4800円から 最上位構成は37万円超え – ITmedia NEWS
- Apple、iPad(第9世代)は価格据え置きでiPad(第10世代)と併売!iPad mini(第6世代)とiPad Air(第5世代)は再値上げ – S-MAX
イラスト用にお絵かきPC欲しい人には選択肢が多くていい時期だと思います。特にスペックと値段を比較できるほどにモノがあるのが素晴らしい。
とりあえず始めたい→surface Pro、iPad Pro
絵の仕事に使いたい→surface Book、iPad Pro(一番スペックいいやつ)
最強→iMac+Wacom Cintiq Pro— サトウ コウタ@イラストレーター (@koh310) September 27, 2018