iCloudプライベートリレーとVPNの違いとは?

Appleが提供するiCloudプライベートリレーは、VPNと似ていますが、違いも多くあります

この記事では、iCloudプライベートリレーとVPNの違いについて解説します。

iCloudプライベートリレーとVPNの4つの違い

iCloudプライベートリレーとVPNの大きな違いは以下の4点です。

プライベートリレーを提供しているのはAppleのみ

iCloudプライベートリレーは、Appleが提供しているサブスク「iCloud+」のサービスです。

iCloud+に課金(月額130円から)すると利用できるようになります。

これに対し、VPNは世界中の様々な企業・団体が提供しており、種類も多くあります。

機能や信頼性もVPNによって様々です。料金も無料のものから、月に1000円以上するものまで様々です。

一例として、VPNには以下のようなものがあります。

  • Proton VPN:無料。Proton Mailの姉妹サービス
  • NordVPN:世界中で大人気の大手VPN
  • WARP:Cloudflareが提供する非常にシンプルな無料のVPN

プライベートリレーが使えるのはSafariのみ

iCloudプライベートリレーは、iPhoneやiPad、Macに搭載されているSafariでのみ機能するサービスです。

Safari以外のアプリでは利用できません。

一方、VPNは端末のネット通信全てに適用する事ができます。

メール、アプリ、ネットの閲覧などなど、全てのネット通信がVPNを通して行われ、送受信するデータはすべて暗号化されます。

その為、VPNはSafari以外のアプリにも利用できるのはもちろん、WindowsやAndroidなど、Apple製品以外のデバイスにも対応しているものが多くあります。

プライベートリレーは通信経路の秘匿化が強力

VPNでは、VPNを提供している企業が通信を中継し、ユーザーのIPアドレスを暗号化し、アクセスしたいウェブサイトへ接続します。

つまり、通信キャリアや訪問先のウェブサイトはユーザーの情報を知る事が出来ませんが、VPNを提供している企業は、ユーザーのIPアドレスや接続先のウェブサイトを知ることが出来ます。

VPNの中にはユーザーの個人情報を守るため、ユーザーの情報を一切記録しない”ノーログポリシー”を掲げているところも多くあります。

例を挙げると、ExpressVPNやNordVPNなどはノーログポリシーを掲げ、ユーザーの情報を一切記録しない運用をしていることが、第三者の審査によって判明しています。

しかし、ノーログポリシーを謳いながら、実際にはログを保存している悪質なVPN存在します

その為、VPNを利用する際は、データを記録していない信頼できるVPN企業を選ばないと、自身の通信が全てVPN企業に筒抜けになってしまう可能性があります。

こうしたVPNの欠点を解決したのがAppleのプライベートリレーです。

Appleのプライベートリレーは2つのサーバーを経由する為、ユーザーの正確なIPアドレスとアクセスするサイトの両方を知っている事業者が存在しません

最初のサーバーはIPアドレスしか知ることが出来ませんし、2つ目のサーバーは接続先サイトしか分かりません。その為、AppleでさえIPアドレスと接続先のサイトを紐づける事は不可能です。

Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギ氏は、メディアのインタビューで以下のように述べています。

フェデリギ氏は、VPNはIPアドレスを隠したいユーザーにとって有用なものの、ユーザーがVPN事業者に大きな信頼を寄せる必要があると指摘。しかし、一般のユーザーがVPN事業者の信頼性を正確に評価することは難しいため、Appleは正確なデータを持つ事業者が存在しないプライベートリレーの仕組みを開発したとのこと。双方向の匿名化システムを用いることにより、たとえユーザーがAppleやプロバイダーを信頼していなくても、プライベートリレーを利用して身元を隠すことができます。

出典:GIGAZINE

VPNは居住地を偽装できる

VPNは他国のサーバーを経由してウェブサイトを閲覧する事が出来る為、日本にいながらアメリカからウェブサイトにアクセスしているかのように見せかけることが可能です。

そのため、Netflixなどが配信するコンテンツの地理的制限を回避できます。例えば、「日本にいながらアメリカ版のNetflixにアクセスする」といった事ができる訳です。

一方で、AppleのiCloudプライベートリレーは、自分の位置情報を曖昧にすることは可能ですが、他国を経由して通信するよう事は出来ません。選択できるのは、おおよその位置か、国とタイムゾーンのみを使用するかという、2つの選択肢だけです

そのため、iCloudプライベートリレーでは、ユーザーが使用する端末(iPhoneやiPadなど)の位置を偽装する事ができないため、「日本にいながらアメリカ版のNetflixにアクセスする」といった使い方はできません

中国や南アフリカなどで、政府による検閲を避けてインターネットに接続するという事も不可能です(そのため、政府による規制が厳しい国では、プライベートリレーは提供されていません)。

まとめ

AppleのiCloudプライベートリレーは、月額130円からという非常に安価な値段で、Safariによるブラウジングを非常に安全なものにしてくれる素晴らしいサービスです。

Appleとサードパーティの、2つのサーバーを中継するので、通信経路が秘匿され、非常に強力なプライバシーの保護が実現します。

しかし、iPhoneやiPadのSafariでしか利用できない点や、接続するサーバーを選択できない点など、VPNと比べて不便な点もあります。

ですので、iCloudプライベートリレーは、VPNの代替や上位互換とはなりません。

iCloudプライベートリレーとVPNはそれぞれ一長一短です。どちらがより優れているという事はありません。プライバシーの保護にこだわりたい方は、自身のライフスタイルに合わせてより良い方を選びましょう。

もちろん、併用してもOKです