エンドツーエンド暗号化とは?プライバシーを守る仕組み

クラウドに保存したメモや写真は、本当に誰にも見られていないのでしょうか?

個人情報の流出や政府による検閲、大企業による監視を防ぎ、プライバシーを守るためには、日ごろスマホやパソコンでやり取りしているデータを適切に保護することが大切です。

この記事では、インターネットを通してデータのやり取りを行う際に、プライバシーとセキュリティを守る強力な仕組みである「エンドツーエンド暗号化」について解説します。

エンドツーエンド暗号化とは?

エンドツーエンド暗号化(End-to-End Encryption/E2EE)とは、送信者から受信者までの通信内容を、誰にも読めないように暗号化する仕組みのことです。

データを送信する側で暗号化し、受信者だけがそれを解読できるようにすることで、通信事業者やサーバー会社などの第三者がデータを覗いたり、改ざんしたりすることを防ぐことができます。

暗号化されていない通信
通信中のデータやサーバーに保存されているデータは、悪意のあるハッカーに狙われたり、運営会社に監視されるリスクがあります。
暗号化された通信
エンドツーエンド暗号化で保護すれば、データにアクセスできるのは当事者(送信者と受信者)だけです。通信事業者や運営会社でさえデータを見る事はできません。

エンドツーエンド暗号化の仕組み

エンドツーエンド暗号化とはどのような仕組みなのでしょうか?

例えば、エンドツーエンド暗号化に対応したクラウドストレージを利用して、写真をスマホからパソコンに移動する場合には以下のような流れで暗号化と復号化が行われます。

  1. 写真がスマホ上で暗号化される
  2. 暗号化された写真がインターネットを通じてスマホからクラウドストレージにアップロードされる
  3. 暗号化された写真がクラウドストレージに保存される
  4. 暗号化された写真がクラウドストレージからパソコンにダウンロードされる
  5. パソコン上で写真の暗号を解除(復号化)する

暗号化が解除されるのは、常に送信者・受信者の端末上なので、クラウドストレージを提供している会社を含め、第三者が写真を閲覧する事は不可能です。

クラウドストレージに保存されているデータが流出したり、通信の内容が傍受されたとしても、暗号化されているので第三者が写真の内容を確認する事は不可能です。

余談ですが、この通信内容が端(送信者の端末)から端(受信者の端末)まで暗号化していることが、「エンドツーエンド(端から端まで)」という名前の由来です。

なぜエンドツーエンド暗号化が必要なのか?

データの暗号化はプライバシーを守るために必要です。

インターネットでは、データが複数のサーバーやネットワークを通過します。この過程で、悪意のあるハッカーや不正な第三者がデータを盗んだり、改ざんしたりするリスクがあります。特に、個人情報やプライベートな会話、重要なビジネスデータなどが漏れると、大きな被害につながります。

しかし、データが暗号化されていれば、仮に通信が盗み見られても、データの内容は把握されないため、プライバシーが守られます。

特にエンドツーエンド暗号化は、全てのデータが自分の端末(パソコンやスマホ)で暗号化されてから通信が行われるので、サービスの運営会社や通信事業者でさえ内容を確認できません。

エンドツーエンド暗号化でプライバシーを守る

AppleやGoogleなど、大手IT企業は自社に保存されるデータを検閲しています。

セキュリティおよび詐欺や不正の防止。個人、従業員およびAppleを守るため、損失を防ぐため、ならびに詐欺や不正を防ぐため。これには、当社の全ユーザーの利益を図るために個人、従業員およびAppleを守る目的や、アップロードされたコンテンツを事前スクリーニングまたはスキャニングして、子どもの性的搾取に該当するなど違法な可能性のあるコンテンツを排除する目的が含まれます。

出典:Appleプライバシーポリシー – Apple

Google ドライブに「エロ画像(二次元)」を保存しておいたところ、いきなりGoogleから「消した」というメールが届いたといいます。投稿者によれば、画像は一般公開も共有もしていなかったといい、あくまでプライベートなファイル置き場として利用していた様子

出典:Google ドライブにエロ画像を入れたら削除された? 「怖い」「検閲か」と不安広がる → Google「人による確認はしていない」 – ねとらぼ

問題のあるファイルを削除する為という理由ですが、(日本では罪にならない)二次元のエロ画像も削除対象ですし、過去には誤認もありました。

関連記事:Googleドライブは検閲されている!勘違いでアカウント凍結のリスクも!

プライベートの写真や仕事の機密情報など、プライバシー面で重要なファイルを預けるには、AppleやGoogleなどの大手IT企業のサービスはいささか不安があります。

しかし、エンドツーエンド暗号化に対応したサービスであれば、こうした検閲とも無縁で安心です。

例えば、クラウドストレージである「Sync(シンク)」は、預けたデータは全て自身の端末上で暗号化され、Syncのサーバーに送られます。

自分の端末以外ではデータが常に暗号化されているので、Syncの運営でさえもデータの内容を確認する事はできません。

関連記事:Syncとは?世界最強のセキュリティを誇るクラウドストレージ

他にも、筆者は「Standard Notes」というエンドツーエンド暗号化を採用したノートアプリ(メモアプリ)を利用しています。

これはノートの内容を暗号化して各端末間を同期するので、運営を含め誰にもノートの内容を見られる心配がないというメリットがあります。

プライバシー重視でデータを扱いたい場合には、Googleなど大手IT企業のサービスを使うのではなく、E2EEに対応したサービスを探すと良いでしょう。

大手IT企業でも、AppleのiCloudはエンドツーエンド暗号化が利用できる設定があるので、普段使っているサービスの場合もエンドツーエンド暗号化のオプションがないかチェックしてみると良いでしょう。

エンドツーエンド暗号化の例

デフォルトでエンドツーエンド暗号化に対応しているサービスをいくつか紹介します。

クラウドストレージ

  • Proton Drive
  • Sync

参考:エンドツーエンド暗号化が利用できるクラウドストレージとは?

メッセンジャー

メモアプリ

まとめ

E2EE(エンドツーエンド暗号化)はプライバシーを保護する上で非常に重要な機能です。

個人情報の流出に不安を覚える方は、E2EEを採用したサービスを検討してみましょう!

参考