Gmailで送受信したメールはGoogleに盗み見されている?

Googleのビジネスは幾度となくプライバシーを軽視していると批判されてきました。

それは同社のメールサービスであるGmailも例外ではありません。

Googleは過去に裁判で「Gmailを利用する際にプライバシーを期待すべきでない」という旨の主張をした事もありました

Gmailは非常に便利で優れたサービスですが、プライバシーの面で見ると懸念があります

Gmailは監視されている

Gmailが収集しているデータには以下の情報があります。

広告主(グーグル以外)に送信されるデータ: 位置情報、ユーザーID、広告データ

分析に使用されるデータ: 購入履歴、位置情報、電子メールアドレス、ユーザーのコンテンツ(写真や動画、音声データ、カスタマーサポート、「その他」のコンテンツ)、検索履歴、ユーザーの識別情報(ユーザーIDとデヴァイスID)、使用状況データ(製品とのやり取りおよび広告データを含む)、クラッシュデータおよびパフォーマンスデータ、「その他のデータタイプ」

製品のパーソナライズのために収集されるデータ: 電子メールアドレス、接続履歴、電子メールまたはテキストのメッセージ、音声データ、検索履歴、ユーザーの識別情報(ユーザーIDとデヴァイスID)、使用状況データ

アプリの機能のために収集されるデータ: 購入履歴、位置情報、電子メールと名前、接続履歴、電子メールまたはテキストのメッセージ、写真や動画、音声データ、カスタマーサポートおよびその他のユーザーコンテンツ、検索履歴、ユーザーの識別情報(ユーザーIDとデヴァイスID)、製品とのやり取り、診断内容(クラッシュデータおよびパフォーマンスデータ)、その他のデータタイプ

出典:グーグルが集めている個人情報の中身と、それをユーザーが管理する方法 | WIRED

Googleが多くの情報を収集しているのは、スパムやマルウェアの排除、メールアドレスの予測表示、ファイルの添付忘れを通知するなど、Gmailをより安全で便利にするために必要な部分もあるので、必ずしも”悪”とは言えません。

しかし、Gmailを通して多くの個人情報がGoogleに記録されているのは事実であり、それ故にGmailはプライバシー保護に関して期待できません。

Gmailの自動スキャンによる検閲

GoogleはGmailで送受信される全てのデータをスキャンし、監視しています

中でも有名なのが児童ポルノを防止するための検閲です。

Googleはユーザーのデータをスキャンし、児童ポルノを発見次第アカウントを凍結し、当局に通報しています(Googleは全てのサービスで検閲を行っており、スキャンの対象はGmailに限りません)。

しかし、姉妹サービスのGoogle Driveでは、何の問題もないファイルが問題ありと判断され、アカウントが一方的に停止された事例もある上、Googleの基準では漫画(架空の児童)であっても違反となるので、「児童ポルノを持っていない人には関係ない」とは言い切れません。

参考:Googleドライブは検閲されている!勘違いでアカウント凍結のリスクも!

また、過去にはメールの内容をスキャンすることで、ユーザーに応じた広告をメールボックスの上部に表示させていました

2014年には、広告提供と検索結果のカスタマイズ、スパムマルウェアの検出の為に、利用者がGoogleおよびGoogle経由でアップロード、投稿、保存、送信、受信したコンテンツをスキャンして分析していることを示す文章を利用規約追加しました(もちろんGmailのデータを含みます)。

(その後、2017年に広告表示の為のスキャンは終了すると発表しました)。

Gmailのメールは外部企業も読める

Gmailで行われているスキャンは当然のことながら機械によるものです。人間が目視で確認している訳ではありません。

しかし、Gmailでやり取りしたメールは、機械だけでなく、連携したサードパーティーアプリ(Google純正ではないアプリ)の開発者も読むことができるとGoogleは認めています

Gmailをサードパーティーアプリで利用する場合、その外部アプリに利用者はメールの閲覧や編集といった権限付与を許可する必要があります。

この許可により、サードパーティーアプリを開発する企業は、利用者のメールを閲覧することが可能になります。実際に、サードパーティーアプリを提供する複数の企業がユーザーのメールを閲覧していたことが判明しています

Googleの従業員ももちろん読んでいる

Gmailでやり取りしたメールの内容を読んでいるのは、サードパーティーアプリを提供する企業だけではありません。

当然、Gmailを提供するGoogleも読んでいます。

Googleによれば、 バグや不正利用の調査など、利用者からの依頼に基づいて同意が得られた場合、もしくはセキュリティ上の理由からGoogleが必要と判断した場合に、GoogleはGmailのデータを読むことがあるという事です。

Gmailは保守派を検閲している?

アメリカでは、政治家のニュースレターを購読した際、民主党の候補者より共和党の候補者のメールがスパム扱いされやすいことが分かっています

これはGmailがユーザーの嗜好と行動に応じて、自動的にメールの分類を調整しているためで、Googleが意図的に共和党の政治家を差別している訳ではありません

しかし、Gmailのアルゴリズムが不透明であることや、誰もがスパムやフィルターの設定や機能に精通している訳では無いので、こうした現象には注意が必要です。

まとめ

Gmailは非常に便利なサービスですが、プライバシー保護の面から見ると良いサービスとは言えません。

Gmailがスタートしたのは2004年ですが、当時からプライバシーの問題が指摘されていました。そして、それは現在でも変わっていません

プライバシーを重視している方は、Proton MailTutaメールなど、プライバシー保護を重視しているメールサービスを利用するようにしましょう。

筆者はGmailも利用していますが、併せてProton Mailも活用しています