VPNサービスには様々な種類があります。
どのようなVPNを選ぶのが良いのでしょうか?考慮すべき4つのポイントを紹介します。
1. プライバシー
VPNを利用する上で何より重要なのはプライバシー保護です。
VPNサービスがどのような個人情報を収集しているのか、公式サイトのヘルプやプライバシーポリシーを読んで確認しましょう。
ノーログポリシー(IPアドレスや通信内容など個人情報を一切記録しない)を掲げているサービスならば安心です。
例えば、NordVPNは世界四大会計事務所の1つであるPwCの外部監査によってノーログポリシーが証明されています。
大手VPNプロバイダーであるExpressVPNも第三者の監査でノーログポリシーを証明しています。
日本ではMillenVPNがノーログポリシーを掲げています(ただし第三者による監査等は無し)。
しかし、日本では開示請求などに備え、IPアドレス等を一定期間保存する事が多いので、日本に拠点を置いているVPNサービスはノーログポリシーの観点から見ると、(海外のサービスと比べて)あまり評価できません。日本のサービスを利用しようと考えている方は要注意です。
世の中には「完全な匿名を保証する」というプライバシーポリシーに反して、ユーザーのブラウジング履歴を監視して接続を記録したり、収集したデータを広告主に売却したりしている悪質なVPN(疑惑も含む)も存在するので要注意です。
2. 価格
VPNサービスには無料で利用できるものも多くあります。
例えば、Proton VPNやCloudflare WARPには無料プランが用意されています。日本の筑波大学もVPN Gateという無料のVPNサービスを提供しています。
しかし、こうした無料のサービスにはデメリットがあります。大抵、(有料のVPNと比べて)機能が少なく、サーバーの数も限られています。中にはプライバシー保護が実現できない粗悪なものもあります。
例えば、Google Chromeの拡張機能として提供されている無料VPNの「Free VPN」は、許可なく利用者の画面を撮影し、外部のサーバーに送信しています。
同拡張機能は非常に人気でレビュー評価が高く、Chrome ウェブストアでもGoogleの「身元確認済みバッジ」および「おすすめバッジ」が付与されていますが、そんな製品でも悪質なVPNである可能性はあるという事です。
サイバーセキュリティとプライバシーの専門家であるZak Doffman氏は、様々なリスクから「無料VPNは絶対に使用してはならない。」とForbesへの寄稿で述べています。
充実したサービスを望むのであれば、有料のVPNがオススメです。
3. 速度
VPNを利用すると、通信内容を暗号化し、VPNサービスのサーバーを経由して通信を行う事になります。
その為、通常の通信よりも通信速度が遅くなってしまいがちです。
第三者のレビューを調べるのも良いですが、実際に契約し、トライアル期間の間に「Fast.com」などのサービスを利用してインターネット回線の速度テストを行うのが良いでしょう。
4. 場所
VPNのサーバーが世界のどこに置かれているのか確認しましょう。
基本的にサーバーが物理的に近い方が通信速度が速くなるので、日本に住んでいる方は日本国内にサーバーが用意されているサービスを選ぶのが良いでしょう。
海外のコンテンツにアクセスしたい場合は、希望の国にサーバーがあるか確認しましょう。
例えば、「アメリカ版のNetflixを見たい」という方は、米国内にサーバーがあるか確認するのが大事です。
VPNに高度なセキュリティとプライバシー保護を求める方は、スイスやドイツなどプライバシー法が強力な国にサーバーが置かれているか確認するのが大事です。
5. 西側諸国のサービスを使う
VPNは著名で欧米に拠点を置くサービスを選ぶのがオススメです。
従って、通信の自由や表現の自由を守っている自由民主主義的な国家のサービスを使うべきです。
逆に、中国やロシアなど規制や検閲が厳しい国家のサービスは避けるのが基本です。
一見して欧米のサービスに見えても、所有者は中国企業という場合もあるので注意が必要です。
大手企業の不正監視および公開を目的とする組織「Tech Transparency Project」の調査によると、AppleのApp StoreやGoogle Playにも中国企業が所有する無料VPNアプリが多く配信されていたとの事。
公開されたレポートによると、iOS向け無料モバイルVPNアプリの上位100に含まれる20のアプリは、中国政府にデータを渡す義務を負う中国企業の所有とされる
同組織は「数百万人の米国人が、自覚のないままインターネット通信を中国企業に送っている。その中には中国人民解放軍と関係のある企業も含まれる」と警告しています。
まとめ
VPNサービスには非常に多くの種類があります。
中にはクオリティの低いものや、セキュリティが甘いもの、酷いとマルウェアやウイルスを仕込まれる悪質なものもあります。
VPNに求める機能とコストパフォーマンスを考えながら、信用できるものを選びましょう。
筆者は、手軽に使えるものなら「Cloudflare WARP」、無料のVPNなら「Proton VPN」、大手で信用があるものなら「NordVPN」をオススメします。
