Telegram(テレグラム)はプライバシー保護を重視したメッセンジャーであり、警察など捜査当局への協力にも消極的なことで知られています。
しかし、Google出身の研究者で、現在はSingalの代表取締役を務めるメレディス・ウィテカー氏は「Telegramは安全性に欠けることで有名で、言論とプライバシーについて大言壮語しながらも、舞台裏では政府と日常的に協力しています。」とXで述べています。
事実、2022年にはTelegramがドイツの捜査当局へ容疑者のユーザーデータを引き渡したとドイツのニュースメディアであるデア・シュピーゲルが報じています。
Spiegelによると、ドイツ連邦内務省は2022年2月からTelegramと直接交渉の機会を持ち、Telegram側からは創業者のパーヴェル・ドゥーロフ氏らが出席。複数回の交渉ののち、ドイツ連邦刑事庁専用のアドレスが設置され、ここからの連絡を受けてTelegramでは100以上のチャンネルやグループをドイツからアクセスできないようブロックしたとのこと。
また、連邦刑事庁はテロや児童虐待の容疑者を含むTelegramユーザーのデータを入手したとも伝えられています。
出典:高セキュリティメッセージングアプリ「Telegram」のユーザー情報の一部が当局に渡っているとの報道 – GIGAZINE
さらに、2024年9月23日には、Telegramが利用規約を変更し、今後は各国の関係当局の法的な要請に応じ、規則に違反した利用者のIPアドレスと電話番号を開示すると創設者兼CEOであるパーヴェル・ドゥーロフ氏が発表しました。
メッセージアプリ「テレグラム」は23日、逮捕状があるなど当局からの正式な要求に対し、アプリの利用端末の位置を示すIPアドレスやユーザーの電話番号を開示すると発表した。
これまでの消極的な姿勢から一転、犯罪者によるアプリの悪用を阻止するために積極的な姿勢を見せた形です。
実際、Telegramは今年だけで、アメリカの法執行機関によるデータ要求に応じ、100人以上のユーザーのIPアドレスや電話番号を公開したと発表しています。
また、アメリカだけでなく、インドやブラジルにおいても、法的要請に従い個人情報を開示したと発表しています(皮肉にも規約変更前から当局の要請に従っていたようです)。
まとめ
Telegramはその匿名性の高さから、香港デモ参加者やウクライナ政府、ロシア政府を告発する個人なども利用していました。
しかし、評判とは裏腹に実は各国の当局に協力していたという実態、そして2024年9月の規約変更により、今後は反政府活動家などが利用しづらいアプリになるかもしれません。
一方で、規約変更によるクリーンな運営が可能になれば、治安と評判が良くなって一般ユーザーは逆に使いやすくなる可能性もあるかもしれません。
いずれにせよ、活動家はおろか犯罪者にまで好かれてしまう強力なプライバシー保護は、今後のTelegramからは無くなるかもしれません。