VPNとは何か?メリットや選び方をわかりやすく解説

インターネットを利用すると、通信会社やアクセスしたウェブサイトに「どこからアクセスしているのか?」「何を見ているのか?」がバレてしまうリスクがあります。

そうした事態を防ぐことができるのが「VPN」です。

VPNとは?

VPNは「Virtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)」の略で、インターネットを利用する際に通信データを暗号化し、プライバシーを守る技術です。

VPNを使えば、通信会社やアクセス先のウェブサイトにIPアドレスや位置情報、通信内容を漏らすことなくインターネットを利用できます。

ただし、VPNを提供している会社はIPアドレスや位置情報、通信内容を全て監視・記録する事が技術的に可能です。なので、自身の個人情報を守るためにVPNを使う際は、ノーログポリシー(利用者の情報を収集しない)信頼できるVPNサービスを選択する事が重要です。

VPNの仕組み

VPNを利用すると、パソコンやスマホの通信データが暗号化されます。その為、第三者が通信データを確認することは出来なくなります。通信を提供している会社(例えばドコモやソフトバンク)でさえ通信内容を確認する事はできません。

そして、暗号化されたデータはVPNサービスが提供するVPNサーバーを経由して目的の場所(ウェブサイトやアプリなど)に接続されます。

これにより、相手側(ウェブサイトやアプリ)から見ると、VPNサーバーからデータが送信されているように見えます。自身のIPアドレスや位置情報もVPNサーバーのものに置き換わります。

VPNのメリット

VPNを利用する事で、通信データを全て丸ごと暗号化し、自身のIPアドレスを隠し、匿名で安全にインターネットを利用する事ができるようになります。

公共のWi-Fiを安全に利用できる

カフェやホテルなど、様々な場所に無料の公衆Wi-Fiが用意されていますよね。

しかし、そうしたWi-Fiは誰が管理しているかよく分かりませんし、誰でも使えるようパスワードが無い or 公開されていてセキュリティも甘いです。

しかし、そんな公共のWi-Fiを使う際も、VPNを利用して接続すれば安心です。

VPNを利用すれば、プロバイダーなどの管理者に対してもアクセスしているサイトやサービスを隠す事が可能です。

通信のほぼ全てが暗号化されるため、通信を傍受されても情報漏洩の心配が少ないです。もちろん、公衆Wi-Fiを管理している人にもバレません。

検閲を避けられる

VPNを利用すると、第三者が通信の内容を確認できなくなります。

通信の自由が保障されている日本ではそこまで重要な機能ではありませんが、これにより政府の検閲や規制を回避して自由にウェブサイトへアクセスする事が可能になります。

地理的制限を回避できる

ウェブサイトの中には、特定の地域からのアクセスを制限しているものがあります。

日本のYahoo! JAPANもそのうちの1つです。Yahoo!はヨーロッパからのアクセスをブロックしています。

ヤフーは2月1日、欧州経済領域(EEA)とイギリスにおけるYahoo! JAPANのサービスを4月6日に終了すると発表した。法令順守の面から継続的なサービスの提供が困難と判断した。対象地域からは、同サービスへ接続できなくなる。

出典:Yahoo! JAPAN、欧州からの接続遮断へ 「法令順守の対応コスト面からサービス継続不能」 – ITmedia NEWS

こうしたウェブサイトは、IPアドレスから地域を判別し、特定地域からのアクセスをブロックしています。

しかし、VPNを利用し、他国にあるサーバーを経由すれば、ウェブサイトの地理的制限を回避する事ができます。

実際に、上記のYahoo! JAPANもVPNを利用して日本のサーバーを経由すればヨーロッパからでも問題なく利用する事ができます。

こうした事例は珍しくありません。

TikTokがアメリカからのアクセスをブロックした際や、某アダルトサイトがフランスからのアクセスをブロックした際には、無料VPNである「Proton VPN」へ登録する人が大幅に増加しました。

VPNのデメリット

プライバシーを保護する上で非常に有力なVPNですが、デメリットもいくつかあります。

通信速度が遅くなる

VPNを使用すると、VPNサービスが用意しているサーバー経由でデータが転送されるため、インターネット速度が低下することがあります。

無料VPNには限界がある

VPNには非常に多くのサービスがあります。

このうち、無料のVPNには様々な制約があります。

中には利用者のデータを収集するなど、VPNとしての魅力に乏しい物も多くあります。

例えば、筑波大学が提供している無料VPNの「VPN Gate」は、不正利用防止の為に接続ログと通信ログを保存しています

また、Cloudflareが提供する無料VPN「WARP」はノーログポリシーを掲げていますが、肝心の匿名性がイマイチです。

無制限の通信とノーログポリシー、多数のサーバー利用を行うには、有料のサービスを利用する必要があります。

閲覧できないウェブサイトがある

一部のウェブサイトはVPNを利用した接続をブロックしています。

そのため、VPNを利用していると特定のウェブサイトにアクセスしても閲覧できないといった事がおきます。

筆者はCloudflare WARPを利用している際、InstagramやThreads、読売新聞のサイトが正常に表示されませんでした。

また、レンタルサーバーのエックスサーバーは海外IPやVPNをブロックする機能が搭載されている為、エックスサーバーを利用しているサイトにはアクセスできない事が度々あります。エックスサーバーは個人ブロガーに大人気のレンタルサーバーなので、VPNを利用していると、アクセスできない個人ブログに時々遭遇する事になるかと思います。

VPNの選び方

VPNには様々な種類があります。

どのようなVPNを選ぶのが良いのでしょうか?考慮すべき4つのポイントを紹介します。

1. プライバシー

VPNを利用する上で何より重要なのはプライバシー保護です。

VPNサービスがどのような個人情報を収集しているのか、公式サイトのヘルプやプライバシーポリシーを読んで確認しましょう。

ノーログポリシー(IPアドレスや通信内容など個人情報を一切記録しない)を掲げているサービスならば安心です。

例えば、NordVPNは世界四大会計事務所の1つであるPwCの外部監査によってノーログポリシーが証明されています

大手VPNプロバイダーであるExpressVPNも第三者の監査でノーログポリシーを証明しています

日本ではMillenVPNがノーログポリシーを掲げています(ただし第三者による監査等は無し)。

しかし、日本では開示請求などに備え、IPアドレス等を一定期間保存する事が多いので、日本に拠点を置いているVPNサービスはノーログポリシーの観点から見ると、(海外のサービスと比べて)あまり評価できません。日本のサービスを利用しようと考えている方は要注意です。

世の中には「完全な匿名を保証する」というプライバシーポリシーに反して、ユーザーのブラウジング履歴を監視して接続を記録したり、収集したデータを広告主に売却したりしている悪質なVPN疑惑も含む)も存在するので要注意です。

例えば、Google Chromeの拡張機能として提供されている無料VPN「Free VPN」は、許可なく利用者の画面を撮影し、外部のサーバーに送信しています。

同拡張機能は非常に人気でレビュー評価が高く、Chrome ウェブストアでもGoogleの「身元確認済みバッジ」および「おすすめバッジ」が付与されていますが、そんな製品でも悪質なVPNである可能性はあるという事です。

参考:10万回インストールされたChrome拡張機能の「FreeVPN」がこっそりユーザーの画面のスクリーンショットを撮り外部サーバーに送信していることが判明 – GIGAZINE

2. 価格

VPNサービスには無料で利用できるものも多くあります。

例えば、Proton VPNやCloudflare WARPには無料プランが用意されています。日本の筑波大学もVPN Gateという無料のVPNサービスを提供しています。

しかし、こうした無料のサービスにはデメリットがあります。大抵、(有料のVPNと比べて)機能が少なく、サーバーの数も限られています。中にはプライバシー保護が実現できない粗悪なものもあります。

充実したサービスを望むのであれば、有料のVPNがオススメです。

自信がVPNに求める機能とコストパフォーマンスを考えながら選びましょう。

3. 速度

VPNを利用すると、通信内容を暗号化し、VPNサービスのサーバーを経由して通信を行う事になります。

その為、通常の通信よりも通信速度が遅くなってしまいがちです。

第三者のレビューを調べるのも良いですが、実際に契約し、トライアル期間の間に「Fast.com」などのサービスを利用してインターネット回線の速度テストを行うのが良いでしょう。

4. 場所

VPNのサーバーが世界のどこに置かれているのか確認しましょう。

基本的にサーバーが物理的に近い方が通信速度が速くなるので、日本に住んでいる方は日本国内にサーバーが用意されているサービスを選ぶのが良いでしょう。

海外のコンテンツにアクセスしたい場合は、希望の国にサーバーがあるか確認しましょう。

例えば、「アメリカ版のNetflixを見たい」という方は、米国内にサーバーがあるか確認するのが大事です。

VPNに高度なセキュリティとプライバシー保護を求める方は、スイスやドイツなどプライバシー法が強力な国にサーバーが置かれているか確認するのが大事です。

VPNの一例

VPNには様々なものがあります。

無料

有料

まとめ

筆者のオススメVPNはCloudflareが提供する無料VPNの「WARP」です。

スマホやパソコンでアプリをダウンロードすれば難しい設定なしで簡単にVPNを利用できます。

初心者向けなので、VPNがどのようなものか知りたい方、初めてのVPNにピッタリです。

ノーログポリシーを掲げている信頼できるVPNを使いたい方は、有料になりますが「NordVPN」がオススメです。

参考