タンス預金とは?メリットやデメリットを解説

タンス預金について解説します。

この記事では、具体的にタンス預金のメリットとデメリットについて解説します。

タンス預金とは?

タンス預金とは銀行等の金融機関に預けず、自宅で保管している現金のことです。

日本銀行の発表によれば、日本全国で過程にある現金は100兆円を超えているといいます。ただし、特に貯金という訳ではなくお財布に入っているお金もあるため、全てがタンス預金に該当するとは言えません。

正確な金額は不明ですが、約100兆円のうち、30兆円から80兆円がタンス預金と考えられています

特に高齢者はタンス預金を行う傾向が強いです。

タンス預金は違法?

タンス預金それ自体は違法ではありません。

お金を銀行に預けるのも、自宅に保管(タンス預金)するのも、全て個人の自由です。

ただし、相続が発生した場合などに、タンス預金の分も適切に財産として申告しないと、脱税の罪などに問われる可能性があります。

メリット(良い点)

タンス預金のメリットは残念ながらあまり多くありません。

すぐに現金を使えて便利

タンス預金の最大のメリットは、いつでもすぐにお金が使える事です。

お金を銀行に預けている場合は、窓口やATMが空いてる時間に現金をおろさなければいけませんし、資産運用(投資)に回している場合は株や債権、外貨を売却するなど、手続きが必要です。

しかし、タンス預金であればいつでもすぐに現金を用意できます。

冠婚葬祭や災害など、急に現金が必要になった場合に備え、ある程度のお金はタンス預金として自宅で管理をしておくのが好ましいです。

金融機関のトラブルの影響を受けない

タンス預金であれば銀行に何かトラブルがあっても全く関係ありません。

銀行に預けているお金がATMの不具合などで引き出せない場合にも、タンス預金があれば安心です。

例え、銀行が破綻したり、口座が凍結されたとしても、タンス預金は影響を受けないので、自分の資産を守る事ができます。

※ただし、日本には預金を保証する預金保険制度(ペイオフ)があり、一般預金であれば1000万円までは保護されます。詳しくは金融庁のウェブサイトを確認してください。

政府や金融機関などに監視されない

銀行の預金額や取引履歴は、政府や金融機関が容易に補足することが可能です。

特に、これからの時代はマイナンバーやインボイス制度によって、今まで以上に個人や企業のお金の流れを政府や金融機関が監視するようになるでしょう。

もちろん、それらは脱税などの犯罪対策の為に重要なことですが、一方で、自分の預金額や取引履歴が他者に見られることに抵抗がある方もいるのではないでしょうか?

タンス預金であれば、他者がお金の流れや金額を完全に把握することは困難なので、プライバシーを守る事ができます。

デメリット(悪い点)

タンス預金にはデメリットも多くあります。

盗難や詐欺にあった時、被害が増える

タンス預金として家に大金を置いておくと、泥棒や強盗に遭った際に、被害が増えてしまいます。

強固な金庫を用意するなど、個人でもできる防犯はありますが、それでも限度があるでしょう。

また、家に多額の現金があることが知られると、泥棒や詐欺師に狙われるリスクも増えてしまいます。

銀行であれば万全のセキュリティが施されていますし、万が一盗難にあっても自分の預金は保証されます。

もちろん、タンス預金が盗難された場合、それを盗んだ犯罪者には損害賠償の責任があります。しかし、被害額が1円単位でハッキリとわかるとは限りませんし、そもそも犯罪者がお金を持っていなければ泣き寝入りすることになってしまいます。

災害で失う可能性がある

タンス預金は災害で失う可能性があります。

火事や大雨、地震、津波などによって自宅で管理していたお金を失ってしまうケースは少なくありません。

タンス預金は火災保険や地震保険の対象外なので、火事や地震などによってお金を失ってしまった場合は取り戻すことができません。

保管場所を忘れたり、間違えて捨ててしまう可能性がある

タンス預金は、保管場所を忘れてしまい、そのまま無くしてしまうリスクがあります。

保管場所を忘れていると、家の掃除や引っ越しをする際に、誤ってお金を捨ててしまう可能性があります。

また、自分はタンス預金の存在を覚えていても、タンス預金があることを知らない家族が、知らずに処分してしまう可能性もあります。

預金に対し一切の保証がない

日本には預金を保証する預金保険制度(ペイオフ)があり、一般預金であれば1000万円までは保護されます。

もしもお金を預けている銀行が倒産してしまっても、1,000万円までは預金が返ってくるという事です(詳しくは金融庁のウェブサイトを確認してください)。

しかし、タンス預金の場合は、そうした保証は一切ありません。紛失や盗難、災害など何らかの理由でタンス預金を失った場合、そのお金は返ってきません。当然、誰かが補償してくれるという事もないです。

出先で利用できない

銀行にお金を入れておけば、外出先で現金が足りなくなった際にATMから引き出すことができます。また、必要に応じて他行に振り込みをすることも可能です。

しかし、タンス預金は出先からコントロールすることができません。現金を引き出すことも他行に振り込むことも不可能です。

自宅に帰り、物理的にお金に触れなければ、タンス預金のお金を使う事はできません。

銀行の利用実績ができない

銀行を利用すると、銀行を相手に信頼を積み重ねることができます。

定期的に貯金をすることで銀行の利用実績ができるため、クレジットカードの発行やローンを組む際に有利になります。

タンス貯金が主だと、銀行の利用実績が作れないため、ローンを組む際に不利になる可能性があります。ですから、手元のお金に余裕があるなら定期的に銀行に預金し利用実績を作るのがオススメです。

資産運用できない

お金を現金で持っていると資産運用ができません。

お金は銀行に預けておくだけでも、(わずかですが)利息がつきます。株式や債券、金などを購入して資産運用すれば、利息よりも多くお金が増える可能性もあります(減るリスクもありますが…)

しかし、タンス預金では利息が一切つきません。減る事はありませんが、増える事もないのです。

資産運用のチャンスを逃しているのは勿体無いことです。

また、物価が上がり続けると同じ金額で買えるものの量が減ってしまい、相対的にタンス預金の価値が下がってしまいます。

景気が良くならない

銀行に預けているお金は、例え自分が利用していなくても、銀行が投資や出資を行い、社会に流通・還元させます。

株や債券を購入した場合も同様です。

しかし、タンス預金は誰の役にも立ちません。自分がそのお金を使わない限り、何の価値も生み出さずタンスの中に眠ったままです。

そのため、タンス預金が増えると、お金の流れが止まり、経済が停滞してしまいます。

タンス預金を市場に流通させれば、それだけで世の中の様々な人や会社にお金が回り、景気が良くなる可能性があります。

日本では2024年7月3日から新しいデザインの紙幣が発行されますが、デザインのリニューアルは古いお札と新しいデザインのお札を入れ替える過程でタンス預金をあぶり出し、日本経済を活気づける事が目的の1つと考えられています

まとめ

自宅で現金を保管する「タンス預金」はデメリットが多いです。

最低限の現金を手元(自宅)に用意したら、残りは銀行に預けたり、資産運用(投資)や自分磨きに使うのが良いでしょう。

必要以上のお金を自宅に置いて管理することはオススメしません。

参考