デジタルデトックスとは、スマホやパソコンの利用を控え、インターネットなどから距離を取る事で、心身をリフレッシュさせ、健康を促進する考え方・行動の事です。
特にSNSから離れることは、デジタルデトックスの中でも重要な要素です。
デジタルデトックスとは?
デジタルデトックスを日本に普及することを目的として活動している「DIGITAL DETOX JAPAN」はデジタルデトックスについてこう解説しています。
デジタルデトックスとは、一定期間スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスとの距離を置くことでストレスを軽減し、現実世界でのコミュニケーションや、自然とのつながりにフォーカスする取り組みです。
デジタルデトックスは、デジタルを完全に手放して生きよう、というものではありません。
より健全にデジタルデバイスやインターネットと付き合っていくために行うものです。
電車に乗っている時、友人を待っている時間など、ふとした瞬間にスマホを見ないだけでも新たな気付きがあったり、新しい出会いがあったり、様々なポジティブな効果を体験することが出来ます。
「デジタルを完全に手放して生きよう、というものではありません」とあるように、デジタルデトックスは「スマホやパソコンを手放そう」「インターネットの利用を控えよう」というものではありません。
むしろ逆で、スマホやパソコン、インターネット等が心身の健康に悪影響を与えないよう、うまく活用するための術です。
デジタルデトックスの効果
デジタルデトックスには様々な効果があります。
ここでは2つを紹介します。
ストレスが減る
SNSは人々のメンタルに悪影響を与える事が複数の調査で明らかになっています。
SNSを常用しているユーザーは不安や抑うつの症状が悪化し、孤立感が深まりやすくなる場合があります。人々の繋がるプラットフォームであるSNSが孤独感を深めているのは皮肉な話です。
SNSの中でも特にInstagramはメンタルに悪影響を与えることが分かっています。逆に、YouTubeは不眠を引き起こす点を除くと、肯定的な評価を得ています(YouTubeはSNSというより動画サイトと感じるかもしれませんが)。
RSPHは14歳から24歳の1479人を対象に、人気の高いSNS5社の影響を調査。それぞれのSNSで経験する不安感や鬱(うつ)、孤独感、いじめ、自分の外見への劣等感など14項目について質問した結果、写真投稿サイトのインスタグラムが若者の心に与える不安感や孤独感、いじめ、外見への劣等感など否定的な影響が、他のSNSよりも高かったという。
5社のSNSのうち、インスタグラムに次いでマイナス要因が高かったのがスナップチャットで、フェイスブック、ツイッターの順にマイナス要因は減り、YouTubeは不眠がマイナス要因として強かったものの、逆に自己表現やコミュニティーづくり、孤独感の解消などプラスの要因が強かったという。
良い睡眠が取れるようになる
スマホやタブレットの画面から発せられる光(ブルーライト)は刺激が強いため、寝る前に画面を見ると、眠気が覚めてしまい、睡眠の質が下がってしまう可能性があります。
スムースに入眠し、快適な睡眠をとるためには、寝る前にはデジタルデトックスをする事が大切です。
ペンシルバニア大学ペレルマン医学部の医師で精神医学の助教授であるフィリップ・ゲアマン博士は、寝る前はスマホを見るより、物理的な本や雑誌を読んだ方が良いと言います。
デジタルデトックスのやり方
デジタルデトックスは決して難しい事ではありません。
スマホやパソコンから離れるというと、半日や一日、場合によってはもっと長くそれらを断たなければならないと思うかもしれません。
ですが、そんな事はありません。デジタルデトックスは短時間でも大きな効果・意味があります。
例えば、DIGITAL DETOX JAPANのもりした氏はコラムでこう述べています。
必ずといっていいほどご質問をいただくのが「デジタルデトックスって何時間やればいいの?」ということです。
結論からお話しすると、時間は関係ないと思っています。
もちろん、1週間近くデジタルをおやすみできれば、とても心地よい体験が得られるかもしれません。
実際にメールの返信を1週間お休みするだけで、ストレスレベルが下がるという研究もあります。
ですが、毎日の生活のなかで少しずつでもデジタルデトックスの時間(電子機器と離れる時間)を取り入れることのほうが、ずっと大事だと思っています。
特にリモートワークが始まってから、ずっと「つながっている状態」にある私たちにとっては、5分でも10分でも、情報から離れて、脳を休めることが大事だと感じます。
たとえば、トイレの中。ついつい個室で眺めてしまう……という方も多いかもしれません。その時間をぼーっと過ごすだけでも、脳にとっては大切な休息です。
(中略)
デジタルデトックスの時間を取り入れたいと考えている方は、まずニュースやSNSの時間を意識的に減らしてみるのがおすすめです。
特にSNSをこまめに見ることをやめると、大きな心境の変化があるはずです。
もりした氏はコラムで「スキマはスキマとして残すべき」と言います。
隙間時間をスマホを見て過ごすのではなく、隙間時間を脳のこまめな休息としてそのまま”暇”にしておくという事です。
執筆家の四角大輔氏も自身の著書「自由であり続けるために 20代で捨てるべき50のこと」でこう述べています。
あふれる情報の中で生きるからこそ、一日のうちのどこかに、オフラインの時間帯を設定した方がいい。
人生の1%。24時間の1%にあたる15分間でいい。どこともつながっていない静けさを一日に一度、自分にプレゼントしてほしい。
あらかじめセットしたアラームが鳴ったら、飛行機の中と同じように、すべての通信機器をオフにするんだ。
やりかけのことがあって、後ろ髪を引かれるかもしれないがとにかく電源を落とす。(中略)
オンライン中には思いつかなかったアイデアや、本当はもう〝やめたい〟と思っていることに、ふっと気づいたり。
いつの間にか放置していた〝やりたかった〟ことを思い出すこともある。
いきなり「一週間をスマホとパソコン無しで過ごしましょう」と言われたらほとんどの方は無理でしょう。
しかし、隙間時間にスマホを見ずにぼーっとする。人生の1%、1日15分だけスマホやパソコンから離れて、情報と繋がらない落ち着いた時間を過ごす。
これなら、日々仕事の連絡などを行う会社員の方や忙しい学生さんでも取り組むことができるのではないでしょうか?
ダイエットも節制して健康的な食事をとる事が大事で、食事自体を断ったら死んでしまいます。
0か100かではなく、「食事中はスマホを見ない」「寝る前はスマホを見ない」など、こまめなデジタルデトックスで十分効果があり、日々の生活を捨てるような極端なチャレンジは必ずしも必要ないという事です。
まとめ
Twitterで毎日暗いニュースを浴びたり、Instagramで煌びやかな世界ばかり見ていたら、心が疲れてしまいます。
例えば、アメリカ保健福祉省公衆衛生局が公開した報告書によると、「1日に3時間以上SNSを利用しているとメンタルヘルスの悪化リスクがSNS利用時間の短い子どもの2倍になる」といいます。
時にはスマホやパソコンから離れ、SNSの利用を控えてみましょう。
余談
Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏もデジタルデトックスを実践している人物です。
Twitterのジャック・ドーシーCEO(42歳)は19年前から、自分の誕生日イブには「デジタル断ち」しているそうで、今年はミャンマーで10日間、デジタルを排除した瞑想(めいそう)の日々を送ったそうです。
出典:TwitterのCEOが休暇に「スマホ断ち」して行ったこと:ITはみ出しコラム – ITmedia PC USER
世界有数のSNSを作った人物がデジタルデトックスをしているのは、示唆に富んだ話ですね。