SNSは人々のメンタルに悪影響を与える事が複数の研究で判明しています。
中でも、Instagramは悪い影響を与える事が知られており、若者の不安と落ち込みを助長していると批判の声が上がっています。
Instagramは若い女性の心に悪影響を及ぼす?
イギリスのRSPH(王立公衆衛生協会)は、SNSが心の健康に与える影響について14~24歳の若者約1500人を対象に調査を行いました。
その結果、SNSの中でも特にInstagramは心にネガティブな影響を与えることが判明しました。
その影響は、特に若い女性に顕著だといいます。
人々に最もポジティブな影響を与えているのはYouTubeで、逆に最もネガティブな影響を与えているのがInstagramであることが判明。Instagramは、ユーザーが自分に対して抱くボディイメージや、睡眠パターン、FOMO(取り残されることへの不安・恐怖)にネガティブなイメージを与えるとレポートには記されています。
特にInstagramが若い女性に与えるネガティブな影響が顕著で、調査に参加した匿名の女性は「Instagramに載せられている写真に写る体はフィルターがかけられ『完璧』に見えるように編集されているものですが、女の子たちがそれらを見ることで、自分たちの体が『十分ではない』と感じやすいのです」と語っています。
Instagramが若い女性に悪影響を与えることは、Instagramの親会社であるFacebook(現Meta)も社内調査で把握しています。
The Wall Street Journal(WSJ)は14日、Facebookの研究者らが過去3年にわたって実施した調査で、Instagramが若年層のユーザー、特に10代女子の「かなり大きな割合に対して有害」であることが明らかになっていたと報じた。
また2019年に報告された調査では、Instagramによって、10代女子の3人に1人が体型コンプレックスを悪化させていることが判明したという。そのほか、10代のユーザーは、Instagramによって不安になったり落ち込んだりする頻度が増えたと回答したと、WSJはFacebookの社内文書を元に報じていた。
なお、Instagramと同じくMetaが運営するFacebookも同様に(使い方によっては)メンタルに悪影響を及ぼすことが分かっています。
Facebookの利用をやめると家族や友人と過ごす時間やその他の現実での活動に費やす時間が増加し、主観的幸福度が向上するという研究結果もあります。
まだ研究は不十分?
SNSが若者(特に少女や若い女性)のメンタルに悪影響を及ぼすという研究が出ている一方で、まだ結論を出せるほど十分なサンプル(研究結果)が出ていないと述べる研究者もいます。
SNSの歴史は浅く、信憑性の高い答えを得るには、まだまだ時間がかかるという事でしょう。
また、カリフォルニア大学アーバイン校の心理学者・情報学者であるキャンディス・L・オジャース氏は、SNSの利用が「メンタルヘルスの悪化を引き起こすことはない」と述べています。
なので、SNSによる有害な影響に関する研究を見る際は、あくまで参考程度にしましょう。
過剰に恐怖したり、SNSを極端に忌避する必要はありません。
SNSと上手に付き合いメンタルを守ろう!
Instagramに限らず、SNSは友達との連絡や情報収集など、様々な事に役立ちます。
メンタルに良い影響を与えることもあります。
例えば、Facebookは人々との交流に活用する事で、気分の上昇につながるといいます。また、LGBT(セクシャルマイノリティ)や障害者など、社会的に疎外されることの多い若者のつながりの場としても機能しています。
しかし、使い方によってはメンタルに悪影響を与えてしまいます。言うまでも無く、それは若い女性に限りません。
アメリカ保健福祉省公衆衛生局が公開した報告書によると、「1日に3時間以上SNSを利用しているとメンタルヘルスの悪化リスクがSNS利用時間の短い子どもの2倍になる」といいます。
X(Twitter)の利用が禁止されたブラジルでは、Xユーザーの3人に1人が「メンタルヘルスが改善したことに気付いた」と民間調査会社の調査で答えています。
一方で、SNSの歴史は浅い為、研究が進んでいません。その為、SNSとメンタルの関係についてハッキリとした結論はまだ出せないと考える研究者もいます。
SNSには、メンタルの健康にとって良い面、悪い面、まだよく分からない面が多くあるという事です。
なので、SNSついては、良い・悪いと単純に考えるのではなく、ルールを設けたり、デジタルデトックスを行うなど、自分のライフスタイルに合わせて上手く付き合っていく事が大切です。
余談:Instagramの経営者は悪影響を否定
FacebookやInstagramなどを運営するMetaでCEOを務めているマーク・ザッカーバーグ氏は、The Vergeのインタビューにおいて、「世の中にある質の高い研究の大半は、ソーシャルメディアと10代のメンタルヘルスの間に広範な規模での因果関係はないことを示唆しています」と話しました。
ザッカーバーグ氏は、SNSがメンタルに悪影響を与えるという主張に対し、懐疑的なようですね。