強力な匿名性を実現するブラウザ「Tor Browser」とは?

強力な匿名性を実現し、プライバシーを保護しながらネットを見ることができるブラウザ「Tor Browser」を紹介します。

公式サイト:Tor Project | オンラインでの匿名性を実現

Tor Browserとは?

Tor Browser(トーア・ブラウザー)はノードと呼ばれる複数のサーバーを経由してウェブサイトにアクセスするブラウザです。

複数のサーバーを経由するため、ウェブサイト側からは通信元(ネットを見ているユーザー)を特定する事が不可能という仕組みです(あくまで通信の話です。通信先のサイトで個人情報を書き込む等すれば、当然バレます)。

当初の目的は海軍が通信を秘匿するためだったと言われており、初期の開発にはアメリカ海軍調査研究所などが関わる政府主導のプロジェクトでした。

なお、「Tor」と呼ぶこともありますが、厳密には「Tor」は通信元を秘匿するための一連のテクノロジーの事で、Tor BrowserはTorを利用してウェブサイトの閲覧ができるブラウザの事です。

ですから、「Tor」と「Tor Browser」は別ものだという事です。

Tor Browserを入手する

Tor Browserは公式ウェブサイトのダウンロードページから入手できます。

公式サイト:Tor Project | ダウンロード

なお、公式にはiOS版は用意されていませんが、「Onion Browser」を使う事でiPhone等からもTorを利用する事ができます。

こちらはTorの公式サイトから紹介されているものなので実質公認です。

Tor Browserの特徴

Tor Browserの特徴(メリット・デメリット)は以下の通りです。

世界最高峰の匿名性

通信のプライバシー保護を考えた場合、Tor Browserに勝るブラウザーは存在しないと言っていいでしょう。

通信元(ネットを見ているユーザー)を匿名化する点で言えば、Tor Browserは最高の選択肢です。

20年の歴史を持つ”老舗”

Tor Browserの開発は1995年から行われており、初版が登場したのは2002年です。

20年というブラウザとしては非常に長い歴史がある老舗ブラウザであり、広く信頼されています。

.onionサイトにアクセスできる

世の中には.onionというドメインのウェブサイトがあります。

これはダークウェブ上に存在するTor経由でのみアクセス可能なウェブサイト(に利用されるドメイン)です。

プライバシーを考慮してウェブサイトを閲覧・利用したい方のために、FacebookやBBCなど、複数のウェブサイトが.onionを使用したミラーサイトを開設しています

かつてはTwitterにもTor版がありましたがイーロン・マスク氏に買収されてから数か月経った2023年3月6日に廃止されました

速度が遅い

複数のサーバーを経由するので、通信速度は非常に遅くなります。

ただニュースサイト等を見るだけならば、わざわざTor Browserを使わなくとも、コンテンツブロッカーで対応するだけでも良いと思います。

利用できないウェブサイトがある

Tor Browserはその匿名性の高さから、犯罪などに悪用されることもあります。

そのため、ウェブサイトによってはTor Browserでの閲覧や利用を制限している場合もあります。

ウェブサイトが日本語に対応

正確な日付は不明ですが、最近になってTorの公式サイトが日本語に対応しました。

公式サイト:Tor Project | オンラインでの匿名性を実現

まだブログなど一部のページは英語のままですが、それでも基本的なページが日本語に対応したことで、便利になったと思います。

まとめ

Torは強力な匿名性を保ちながらネット閲覧ができるため、プライバシーを保護するのにピッタリです。

その強力な機能は一般の方にはいささか過剰で、使う機会がないかもしれませんが、政府や企業の検閲、または悪意あるハッカーなどから身を守る手段として、覚えておくと良いでしょう。

参考