AIブームを背景に、メモリ企業はAI関連銘柄として大きな注目を集めています。
特に、AI向け半導体で重要なHBM(広帯域幅メモリー)を製造するSK Hynix(SKハイニックス)、Samsung(サムスン)、Micron(マイクロン)などは、AI市場の成長を支える企業として注目されています。
日本でも、NAND型フラッシュメモリ大手のKioxia(キオクシア)が株式市場で注目を集めたことで、メモリ半導体への投資に興味を持った方も多いのではないでしょうか。
一方で、これらの企業へ個別に投資するには、外国株取引の手続きが必要だったり、株価が高く少額投資が難しいという課題があります。
そこで登場したのが、メモリ半導体企業にまとめて投資できる米国ETF「Roundhill Memory ETF」です。
Memory ETFとは?
「Roundhill Memory ETF」は2026年4月2日に上場した米国初のピュアプレイ型(特定分野に特化した)メモリチップETF(上場投資信託)です。
インデックス連動ではなくアクティブ運用で、HBM・DRAM・NAND等のメモリ半導体企業への集中投資を目指します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ETF名 | Roundhill Memory ETF |
| ティッカー | DRAM |
| 運用会社 | Roundhill Investments |
| 上場日 | 2026年4月2日 |
| 経費率 | 0.65% |
| ウェブサイト | Memory ETF |
メモリ企業の定義は「売上または利益の50%以上がメモリ半導体の開発・製造に由来する企業」です。
ポートフォリオ
Memory ETFのポートフォリオ(構成銘柄)は以下の通りです(2026年7月13日時点)。
| 銘柄 | ティッカー | 割合 |
|---|---|---|
| Micron Technology Inc | MU | 26.25% |
| Samsung Electronics Co | 005930 KS | 25.21% |
| SK hynix | 000660 KS | 22.06% |
| Sandisk | SNDK | 4.90% |
| Seagate Technology Holdings | STX | 4.79% |
| Western Digital | WDC | 4.78% |
| Kioxia Holdings | 285A JP | 4.18% |
| GigaDevice Semiconductor | 603986 C1 | 2.66% |
| Nanya Technology | 2408 TT | 2.15% |
| Winbond Electronics | 2344 TT | 1.14% |
なお、実際には現金なども保有しています。完全なリストではありません。
また、ETFの構成銘柄や経費率、取扱状況は変更される場合があります。最新の構成銘柄はMemory ETFの公式サイトから確認できます。

メリット:3つの魅力
Roundhill Memory ETFには3つの魅力があります。
- 韓国株へのアクセス
- 高額な銘柄にお小遣いで投資できる
- メモリ企業に集中したポートフォリオ
それぞれ解説します。
1. 韓国株へのアクセス
高性能なDRAMであるHBM(広帯域幅メモリー)を作っている主要プレイヤーは以下の三社です。
- SK Hynix
- Samsung
- Micron
DRAM市場はこの大手三社による寡占状態にあるため、AIによるメモリ需要の成長に注目する場合、この三社は重要な投資対象となります。
ですが、三社のうちSK HynixとSamsungは韓国企業です。
個人向けに韓国株を扱っている証券会社は少なく、主要なネット証券(SBI証券・三菱UFJ eスマート証券・松井証券・マネックス証券・楽天証券)ではSBI証券だけです。
韓国株が取引できる日本国内のネット証券は2026年7月1日時点でSBI証券のみで、よく比較される楽天証券では取扱いがありません。
そのため、この二社に投資をするのは少々面倒でハードルが高いです(Micronは米国企業なので、多くの証券会社で購入できます)。
しかし、Roundhill Memory ETFは米国のETFなので、様々な証券会社で取り扱いがあり、購入のハードルは高くありません。
個別に買うのが面倒なSK HynixとSamsungの株を簡単に購入できるのは非常に魅力的です。
※SK Hynixは2026年7月10日に米国市場(NASDAQ)に上場しました。

2. 高額な銘柄にお小遣いで投資できる
2つ目のメリットは株価がかなり高額になっている株式に、お小遣いレベルのお金で投資できる事です。
MicronやKioxia、SanDisk(サンディスク)といった銘柄は、AIブームにより2026年に入ってから株価が暴騰しました。
株価が暴騰すると、趣味で投資をしている方にとって購入のハードルはかなり高くなりますよね。
しかし、Roundhill Memory ETFであれば、お小遣いレベルの金額で、KioxiaやSanDiskといった少額で投資を行う個人投資家には高すぎて手を出しづらい株に投資をすることができます。
3. AI時代のメモリ企業に集中したポートフォリオ
ETFにはデメリットもあります。そのうちの1つが、自分が欲しくない株が含まれている点です。
例えば、先ほど紹介した韓国株のSK HynixとSamsungは、Roundhill Memory ETFでなくても、韓国株のETFを購入すれば手に入ります。
しかし、それだと興味がない韓国株も購入することになってしまいます。
Micron TechnologyやSanDiskが含まれているテクノロジー系のETFもありますが、やはり興味がないIT企業にも投資することになってしまいます。
しかし、Roundhill Memory ETFは文字通りメモリ企業に特化したETFです。それも、AIブームにおいて非常に重要なプレイヤーを揃えています。
その為、「AIブームでメモリ企業の株価が上がる!」と予測する人にとっては、無駄のないポートフォリオとなっています。
デメリットは集中リスク
様々な魅力があるRoundhill Memory ETFですが、デメリットも当然あります。
それは主に以下の2つです。
- 集中リスク
- 経費率が高い(0.65%)
集中リスク
Memory ETFのポートフォリオ(構成銘柄)は非常に偏っています。
元々、採用している株が一部のメモリ企業に限られている上に、ポートフォリオの大半をDRAM(HBM)を製造している以下の三社が占めています。
- SK Hynix
- Samsung
- Micron
AIブームにおいて、HBMの需要を強く信じる方からすれば、無駄のないポートフォリオですが、逆に言うとメモリ(特にHBM)の需要に極端に賭けている構成です。
HBMの需要が崩壊したり、彼らがHBMの製造に失敗した場合には暴落するリスクがあります。
また、メモリ市場では現在の大手3社以外にも、中国のYMTC(長江メモリ)など新興勢力が存在します。将来的に競争環境が変化する可能性も考慮する必要があります。

Memory ETFは集中リスクが大きく、分散投資としての価値はほとんどありません。
企業こそ分散していますが、実質メモリ需要一点賭けの商品です。
実際に、2026年7月14日には、韓国のSK Hynixが急落し、Kioxiaを始めとする日本の半導体関連銘柄も大きく下落し、Memory ETFも同タイミングで下落しました。
メモリ需要やAIブームの動きで大きく変わるボラティリティ(株価の変動)は、安定した資産運用を望む方にとってはギャンブル性が高すぎるかもしれません。
経費率が高い
Memory ETFのデメリットの1つは、経費率が高いことです。
同ETFの経費率は0.65%に設定されています。
これは、市場全体に連動する低コストのインデックスETFと比較すると高い水準です。一般的な市場指数ETFの経費率は0.03%〜0.10%程度であり、0.65%はその数倍になります。
一般的な市場指数ETFの手数料は0.03%から0.10%ですが、セクター別またはアクティブ運用型ETFの場合は0.20%から1%を超える場合があります。
経費率は毎年、投資資産から差し引かれるため、長期間保有するほど影響が大きくなります。例えば100万円を投資した場合、経費率0.65%では年間約6,500円の手数料が発生します。
半導体メモリ市場の成長によるリターンが手数料を上回れば問題ありませんが、期待した成長が得られなかった場合、高い経費率がパフォーマンスを押し下げる可能性があります。
まとめ
Roundhill Memory ETFに投資すれば、少ないコストと手間で、AI時代に注目されているメモリ企業にまとめて投資ができます。
特に、お小遣い価格でSK Hynix、Samsung、Micronの三大DRAM企業に投資できる点は大きな魅力です。
いきなり数十万円を用意してSK HynixやMicronに賭けるのはハードルが高いですが、数万円で複数のメモリ銘柄に投資できるのであれば、ハードルは下がりますからね。
筆者も実際にマネックス証券で少額ながら投資をしてみましたが、購入方法は通常の米国株とほぼ同じでした。特別な手続きが必要な商品ではありません(マネックス証券では6月4日から取り扱い開始)。
AIブームにおけるメモリ需要に注目している方、AI銘柄に効率よく投資をしたい方は、Memory ETFについて調べてみてはいかがでしょうか?
参考:DRAM ETF Stock Price & Overview
余談:2倍レバレッジのETF「RAM」
余談ですが、RoundhillはMemory ETF(ティッカー:DRAM)だけでなく、「Roundhill T-REX 2X Long DRAM Daily Target ETF(ティッカー:RAM)」というETFも提供しています。
公式サイト:2X Long DRAM Daily Target ETF
こちらは、Memory ETFの2倍のパフォーマンスを目指すETFです。
損失も2倍になるので、Memory ETFよりもリスクが高い商品です。経費率も1.50%と高めに設定されています。
重要なのは「一日の値動きが2倍になる」という点です。結果が2倍になる訳ではありません。
DRAMが10%動いた場合、RAMは20%動きます。その場合、損失は以下のようになります。
- DRAM:100 → 110 → 99(-1%)
- RAM:100 → 120 → 96(-4%)
2倍のパフォーマンスと聞くと、DRAMの損失が-1%の時、RAMの損失は-2%になるように感じますが、実際には-4%になります。
これをレバレッジETFのボラティリティ・ドラッグ(逓減(ていげん))と言います。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身で行ってください。なお、筆者は記事公開時点でMemory ETFを保有しています。