Xに搭載されているAIチャットボット「Grok」とはどういう意味なのか?
名前の由来について解説します。
意味は火星の言葉で「理解する」
Grok(グロック)とは、ロバート・A・ハインライン氏による1961年のSF小説「異星の客」に登場する架空の火星語で、「理解する、認識する」という意味の言葉です。
イーロン・マスク氏はここから、xAIのAIチャットボットの名前を「Grok」と名付けました。
マスク氏は2025年2月17日に開催されたGrok 3の発表イベントで、「この言葉が深い理解と共感を伝えるものであり、これらはGrok 3の重要な特性である」と述べています。
Grokという言葉は実際に使われている
「Grok」という単語は小説の中に登場する架空の言葉でありながら、1960年代から70年代のカウンターカルチャーで広く使われました。
grok(v.)
「共感的に理解する」、1961年、アメリカのSF作家ロバート・A・ハインライン(1907-1988)が彼の著書「異星の客」で任意に造った言葉。本の中では火星の言葉の音写であり、語源的には「飲む」を意味する。1960年代-70年代のカウンターカルチャーで広く使われたが、現在ではインターネット技術の圈を除いてはほぼ廃れている。
現在でも、インターネットやコンピューターサイエンスのコミュニティなどテック業界では、「to grok」を「理解する」という意味で実際に利用されており、辞書にも載っています。
日本のWeblio英和辞典にも、「grok」は「意味をとらえる」という意味であると記されています。
また、オックスフォード英語辞典には、「直感的にまたは共感によって理解する。信頼関係を築く。」という意味の他動詞であると記載されています。
まとめ
チャットAIの名前をSF小説に登場する言葉から名付けるのはイーロン・マスク氏らしいですよね。
ちなみに、マスク氏は、xAIが開発するAIのことを「TruthGPT」という名前で呼んでいました。
これが仮称だったのか、何らかの理由で「Grok」に変更されたのかは不明です。
なお、Grokという名称は同様の名称や類似の名称を使う他社が他にもある為、商標登録が難行しているとのこと。
余談1:同名のAI企業がある
余談ですが、非常に似た名前の企業「Groq」が存在します。
読みは同じで、こちらもSF小説「異星の客」から採られています。
事業内容もGrokのxAIと非常に似ており、推論AIに特化したチップやAI開発者向けのプラットフォームを開発しています。
同業者である事から、xAIと協業するという噂もあります。
しかし、今のところ公開されている情報を見る限り、xAIおよびGrokとは一切関係ない企業です。
ちなみに、日本でも事業の展開を予定しています。
人工知能(AI)半導体の開発を手がける米Groq(グロック)が日本でクラウドコンピューティングの仕組みを利用したサービスを始める。KDDIなどデータセンター運営企業と協業する検討を始めた。
KDDIは2024年に傘下のベンチャーファンドを通してGroqに出資しています。
Groqは2016年にジョナサン・ロス氏によって創業された企業です。ロス氏はGoogleの元社員で、同社のAI研究とAIチップ(TPU)の開発を行っていました。
Groqは長らく低迷していましたが、2022年末にChatGPTが登場し、世界でAIブームが起こったため息を吹き返し、2025年7月時点で評価額が約60億ドルとなっています。
余談2:マスクの元カノも事業で「Grok」の名を使用
マスク氏の元パートナーであるグライムス氏も「Grok」という名称をビジネスで利用しています。
彼女はスタートアップのCurioと、「チャットAIを搭載したおしゃべりぬいぐるみ」を制作しており、そのうちの1体が「Grok」という名前です。この名前は「Grocket」という単語を短縮したもので、グライムス氏が名付けました。
グライムス氏はこのGrokの声を担当しています。

画像:Grok AI Toy – Curio
ちなみに、Curioはこのぬいぐるみを作るにあたってOpenAIと提携しています。xAIのGrokとは名前も含めて全く関係ない様子。