X(Twitter)で利用できる対話型チャットAI「Grok(グロック)」について、特徴や使い方などを解説します。
公式サイト:Grok / X
Grokとは?
Grok(グロック)とは、イーロン・マスク氏が起業したxAIが開発している対話型のAIです。
ユーモアやウィットに富んだ応答が特徴で、Xは「ひねりのきいたユーモアとやや型破りな性格が魅力のAI検索アシスタント」と呼んでいます。
OpenAIのChatGPTや、GoogleのGeminiのように、自然な言葉で会話するように利用できるのが特徴です。
ちなみに、「Grok」とはロバート・A・ハインライン氏による1961年のSF小説「異星の客」に登場する架空の火星語で、「理解する、認識する」という意味の言葉です。
Grokの料金
X Premiumの上位プランである「プレミアム」および「プレミアムプラス」に加入しているユーザーは、XのウェブサイトやアプリからGrokを利用することができます。
料金は以下の通りです(下位プランのベーシックではGrokを利用できないので注意!)。
期間 | ベーシック | プレミアム | プレミアムプラス |
---|---|---|---|
月額 | 368円 | 980円 | 1,960円 |
年額 | 3,916円 | 10,280円 | 20,560円 |
1年分まとめて契約すると、少しお得です。
なお、これらはウェブサイト(x.com)から登録した場合の料金です。iPhoneやAndroidのアプリから登録した場合は、プラットフォーム手数料が上乗せされ、以下のような価格になります。
期間 | ベーシック | プレミアム | プレミアムプラス |
---|---|---|---|
月額 | 600円 | 1,380円 | 3,000円 |
年額 | 6,000円 | 14,300円 | 35,000円 |
Grokの特徴
GrokはXの公開データで学習されているのが特徴です。
また、「標準モード」と、ユーモアを交えて回答する「ユーモアモード」の2つのモードが存在するのも、他のAIチャットbotにはないユニークな点です。
Xの投稿をリアルタイムで学習
GrokはX上の情報や投稿をリアルタイムで参照することができる点が大きな特徴です。
イーロン・マスク氏も「Xのプラットフォームを通じてリアルタイムで情報にアクセスできるのが他の(AI)モデルと比べて大きな利点だ」と述べています。
実際にGrokを利用したBloombergのシリン・ガファリ氏は、時事的な話題についてGrokに尋ねたところ、ChatGPTやBard(現Gemini)といった競合他社のAIよりも優れた回答が生成されたと報告しています。
また、X上にはフェイクニュースや怪しい情報も多いので、X上の情報を学習している事に不安を感じるかもしれませんが、この点についてもガファリ氏は、「Grokは回答で引用した情報源の大部分をBloombergやFinancial Times、Sky Newsなどの主流メディアに頼っていた」と述べており、Grokが信憑性の高い情報源を利用している事が分かります。
なお、ユーザーはxAIによるGrokの為の学習を設定から拒否できます。
関連記事:Xで自分の投稿がAI・Grokの学習に利用されるのを防ぐ方法
答えにくい質問にも答えてくれる
ChatGPTやGeminiは、難しい質問やセンシティブな話題(政治的な質問や不道徳な質問など)には対応しないように調整されています。
しかし、Grokは違います。
開発しているxAIは、Grokを発表した際、「ほぼすべての質問に答えられるように設計されており、さらに難しいことに、どのような質問をすればよいかを提案することさえできます。」と公式サイトで述べています。
実際に、米テクノロジー系メディアのGizmodoが調査したところ、Grokはどんな質問も拒まず、ほかの対話型AIが沈黙する質問についても詳しく語ってくれたとのことです。
Geminiは政治的な問い全般をスルーしました。「ガザはどこ?」という問いにも直接答えることを拒否。そのかわりに「最新情報をお探しでしたらGoogle検索を試してみてくださいね」と軽く自社サービスへ誘導していました。
ChatGPT、ClaudeとMeta AIは揃ってポルノ・エンジンの不正改造・麻薬についての質問に答えませんでした。また、回答しない理由として倫理上・法律上の問題を挙げていました。それぞれの質問の答えはインターネットですでに出回っているのにも関わらず、です。
その反面、xAIのGrokはどの質問も拒まず、ほかの対話型AIが沈黙を守った項目についても詳しく語ってくれました。ただし、ほかのAIと同様、曖昧な言い回しが目立つ回答もありました。
また、AIのセキュリティやプライバシー問題など安全性に取り組むAdversa AIの研究者によるテストでも、Grokは爆弾の作り方や麻薬の調合方法など、他のAIが回答しない質問に答えてくれたといいます。
Adversa AIのアレックス・ポリアコフ氏は、「Grokには、不適切なリクエストに対するフィルターがほとんどありません」と述べています。
Grokは自由主義者?
余談ですが、政治的・社会的な質問に関しては、(皮肉にもイーロン・マスク氏のイデオロギーとは異なり)リベラルな答えを回答することが分かっています。
ニュージーランドに拠点を置くデータサイエンティスト兼プログラマーのデイヴィッド・ロザド氏がGrokの政治的見解の偏りを分析したところ、Grokの回答は自由主義的(左翼寄り)な傾向を強く示したとのこと。しかし、Grokにその考えを説明するよう求めると、より中立的な見解に近づいたとのことです。
参考:イーロン・マスクのAIモデル「Grok」は意外なほど政治的に中立的だった | WIRED
Xのポストが表示される
Grokは、ユーザーの質問に答えた後、その回答に関連する内容のポストを表示することがあります。
例えば、Twitterについて質問すると、Twitterについて書かれているポストが表示されるといった具合です。
表示されるポストはX公式や著名なメディアではなく、普通に匿名の一般人のポストが表示されます。
表示されるポストが、具体的にどういう基準で選ばれているのかは良く分かりません。
筆者が使った限りでは、表示されるポストは質問の内容に関連しているものの、特に芯は食っておらず、参考になるポストが表示されることはありませんでした。むしろネガティブなリプライが表示される事もあったので、あまり好ましくは感じませんでした。個人的には要らない機能です。
Grokの使い方
Grokは、Xのアプリやウェブサイトから利用することができます。
Grokへ質問する際は、もちろん日本語でOKです。
モデルは2種類
Grokには以下2つのモデルがあります。
- Grok 2ミニ
- Grok 2
好きな方を選んで、質問することができます。
ミニの方が高速です。めちゃくちゃ生成が早いのでサクサク利用できます。
Grok 2の方は、Xいわく「Xの最もインテリジェントなモデル」とのことです。
筆者が使ってみた限りでは、Grok 2の方も十分高速で使いやすいと思いました。
Grokで画像生成する方法
Grokは画像生成を行う事も出来ます。
利用方法は簡単で、「○○の絵を描いてください」というように指示すればOKです。英単語のプロンプトを入力する必要はありません。
生成できる画像に枚数制限はなく、生成速度も速いので使いやすいです。
ただし、画像を生成するよう明確に指示を出さないと、Grokが文章で回答してくる場合があるので注意が必要です。
ちなみに、Grokの画像生成機能はドイツのAIベンチャー「Black Forest Labs」のAIモデル「FLUX.1」が使用されています。
完全にアウトな画像を生成してしまう?
Grokの画像生成に関しては制限も厳しく、生成できない画像も多いです。
ですが、過去には「機関銃を撃つミッキーマウス」が生成されてしまったことも…ほかにも明らかに著作権を侵害しているアウトな画像を生成することができてしまいます。
X の Grok2(Flux.1)で画像生成してみたら、見覚えのあるキャラクターが次々と出てきてビックリ😳
最近のモデルでは珍しいかも、、、💦 pic.twitter.com/xGGh55fLsn
— 素晴木あい@ AI絵師 (@aisubarasiki) 2024年8月16日
筆者も試してみましたが、他社の著作物を簡単に生成できました。
商用利用する際などは要注意ですね。
Grokでプログラミングをする方法
Grokはプログラミングも可能です。
コードの書き方を説明したり、実際にコードを出力することも可能です。
その際には、シンタックスハイライトでコピペ可能なコードを出力してくれます。
まとめ
Grokは非常に使いやすく、高性能な生成AIです。
特に生成AIに興味が無い方も、Xのアプリやウェブサイトから簡単に利用できるので、X Premiumに課金している方はぜひ使ってみてはいかがでしょうか?
公式サイト:Grok / X
参考
- xAIのAIボット「Grok」、Xプレミアムのハイエンドプランで提供へ(ITmedia NEWS)