生産性を向上する為に、複数の仕事を同時にこなす「マルチタスク」に憧れている方は少なくないと思います。
しかし、実はマルチタスクは決して優れた仕事術ではありません。
マルチタスクは、効率的でないどころか、生産性を大幅に下げてしまうことが様々な研究で分かっています。
マルチタスクは生産性が40%下がる!?
マルチタスクを行うと、タスクを切り替える際に大幅なロスが発生し、1つのタスクに集中する場合と比べ、生産性が40%も下がってしまいます。
そもそも、人間の脳は、1つの事にしか集中できません。
我々がマルチタスクだと思っていることは、実際には複数のタスクを瞬時に切り替え続けているだけなのです。本当の意味で、複数のタスクを同時に行うことは出来ません。
仕事術(ライフハック)について書かれた本である「ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250」では、この点が分かりやすく記されています。
2つの仕事やタスクを同時にこなすことはできません。“同時”に最も近づいた状態でも、結局は短い時間にタスクを切り替えながら仕事をしているにすぎません。そして、こうした切り替えの際に「さきほどまで何をしていたんだっけ」「これから何をすればいいのか」と思い出すためのオーバーヘッドが生じます。
アメリカ心理学会のとある研究によれば、2つの作業をマルチタスクに切り替えながら行うのと、シングルタスクで1つが終わってからもう片方を行うのでは、どうしてもマルチタスクのほうが遅くなったという報告がされています。そのロスは、シングルタスクに比べておよそ40%というのですから見過ごせません。
なお、アメリカ心理学会の”とある研究”というのは「Multitasking: Switching costs」の事です。
大切なのはシングルタスク!
あなたの周りには、実際にマルチタスクで成果を出しているように見える方もいるかもしれません。
しかし、それは「マルチタスクに見えるだけ」か「実際には生産性が高くない」かのどちらかです。
マルチタスクを実行すると、複数の仕事のことを同時に考えなければならないため負担になり、生産性が下がります。
生産性を高める上で重要なのはシングルタスクです。
つまり、1つの仕事に集中するということです。
「一度に行う仕事は、1つだけ」という絶対のルールを自分に課すことが、生産性を高い状態でキープする方法です。
心理学者のガイ・ウィンチ氏は以下のように述べています。
最も時間を節約できるのは、物事をまとめて行うことです。
請求書を一度に支払い、メールを一度に送信する。それぞれのタスクには特定の考え方が必要で、一度流れに乗ったら、そのまま最後までやり遂げるべきです。
また、電話待ちをしているときのように、どうしてもマルチタスクをする必要がある場合は、一体何を同時に進めているのか付箋に書き留め、頭のメモリーを複数のことに使わなくてもいいように(頭の片隅に目の前の仕事と別の仕事を覚えておかなくて良いように)することが大切です。
こうすることで、マルチタスクをしなくてはならない際も、生産性の低下を防ぐことができます。
まとめ:マルチタスクは絶対NG
マルチタスクは一見、複数のタスク(仕事)を同時にこなすことで生産性を高めているように見えます。
ですが、実際は複数のタスクを細かく切り替えているだけです。
複数のタスクを切り替えるのは脳にとても負担がかかり、生産性が40%も落ちてしまいます。
それどころか、脳にもダメージを与えてしまうことが分かっています。
なので、効率よく勉強や仕事を行いたい方は、マルチタスクは絶対に行わないようにしましょう。
生産性を保ちながら仕事をするにはシングルタスク(1つの物事に集中して仕事をする)ことが大切です。
目の前の1つのタスクに集中する事が、高い生産性を保つコツです。