アメリカのチップ相場はいくら?払い方は?

アメリカを旅行する際に、多くの人が戸惑うのがチップの習慣です。

どのくらいの金額を渡すべきか?どのタイミングで渡すべきか?悩むことが多いでしょう。

この記事では、アメリカにおけるチップの相場とその払い方について解説します。

チップの相場

チップの相場は、お店やサービスによって様々です。

レストラン

通常、食事代の15~20%が相場です。ビュッフェでは10~20%、高級レストランでは20%が一般的です。

ディナーは基本20%、ランチなら18~20%が相場になります。

素晴らしいサービスを受けた場合は、それ以上渡しましょう。

また、コートを預かってもらう際に、係のスタッフに別途1~2ドル支払います。

ただし、サービス料などの名目で、最初からお店側がチップ分を会計に含めている場合は不要です。

ちなみに、ピュー研究所がアメリカ人を対象に行った世論調査によると、回答者の57%は食事のチップとして会計額の15%以下しか渡しておらず、20%以上を渡しているのは22%のみとのことです。

テイクアウト

テイクアウト(持ち帰り)の場合、基本的にチップは不要です。

しかし、注文した量が多かったり、複雑であったり、店員に運んでもらうのを手伝ってもらった場合には、料金の10%ほどチップを支払うといいでしょう。

フードデリバリー

レストランに食事を配達して貰ったら、代金の20%または5ドルのいずれか高い方の金額をチップとして渡しましょう。

タクシー

運賃の15~20%が相場です。最低1ドルです。

お釣りを受け取らず、そのままチップとして相手に渡すのもありです。

寄り道をしたり、トランクに荷物を入れるのを手伝ってもらった場合にはチップを多めに渡しましょう。

Expediaによると、運転手のなかには、受け取った紙幣をチップ込みの金額と思い込み、こちらから言わないとお釣りを返してくれない人もるようなので注意しましょう。

空港やホテルなどの特定の場所では、固定料金でチップを渡すこともあります。

Uberの場合、チップを支払う必要はありません。しかし、当然のことながら支払った方が喜ばれます。

ホテル

荷物を運んでくれるベル係には、荷物1つにつき1~2ドル払いましょう。荷物が多い時や、重い荷物を運んでもらった時は1つにつき5ドルほど払うと良いでしょう。高級ホテルの場合も5ドル程度払いましょう。

毎日部屋を掃除してもらうハウスキーパーには1日あたり3~5ドルが目安です。部屋のグレードに合わせて金額は調整しましょう。

バレットパーキング(ホテルやレストランで係員がお客様の車を出入庫するサービス)は2〜5ドルです。

ハウスキーピングのスタッフは交代する為、最終日にまとめて払うのではなく、毎日枕元などに置いておきましょう(ピローチップ)。しかし、ピローチップの習慣は廃れており、アメリカ人でも置く人は少ないといいます。

高級ホテルの場合は、これらの相場が約2倍になると覚えておきましょう。

サロン・スパ

美容院、理髪店、ネイルサロン、フェイシャル、脱毛、マッサージなどは、料金の15~20%が相場です。

バー

ドリンク1杯につき1~2ドル、または総額の15~20%が一般的です。

なお、近年は多くのバーやナイトクラブで請求書に最初からチップを含めるようになっており、通常は料金の18~25%の範囲であると米全国紙のUSA TODAYは報じています

フードデリバリー

Uber Eatsなどのフードデリバリーでは15~20%のチップを払いましょう。

特に米国最大手のフードデリバリー会社であるDoorDashは、ドライバーがより収益性の高い仕事(≒チップを多く払ってくれる注文)を優先して受注する為、事前にチップが含まれていない注文は待ち時間が長くなる可能性があるとアプリで警告をしています

DoorDashのアプリで注文時にチップ金額を0ドルと入力すると、以下の警告(原文は英語)が表示され、チップを追加するか、チップなしで注文を続けるかを選択するように促されます。

チップなしの注文は配達に時間がかかる場合があります。続行してもよろしいですか?

ダッシャーは、どの注文に対応するかを選択できます。ダッシャーの受付に時間がかかる注文は、配達に時間がかかる傾向があります。

余談ですが、DoorDashは2021年6月に日本でもサービスを開始しており、現在はWolt(ウォルト)にブランド名を変更して展開しています

スーパー、フードコート、ディスカウントストア

基本的にチップは不要です。

ファストフード店

長らくファストフード店ではチップを払わないことが一般的でした。

しかし、近年はファストフード店でもチップを要求されることが増えています

金融サービスのオンラインプラットフォームであるLendingTreeが行った調査によれば、アメリカ人のうち44%は「過去6カ月間にファストフード店でチップを要求された」と答えています(なお、要求された人のうち43%はチップの支払いを拒んだとのことです)。

基本的に、ファストフード店ではチップを支払う必要はありません。しかし、近年はキャッシュレス決済の普及でチップを要求される事もあるので注意しましょう。

タッチパネル式で、クレジットカードやデビットカードなど支払い方法を選んだ後、「15%」「20%」「25%」「額を選ぶ」「チップなし」といった選択肢が画面に表示される。

出典:チップ、どこまで払えば…米国でも増す悩み 「手に負えない」批判も | 毎日新聞

ピュー研究所の世論調査によれば、ファストフード店やコーヒーショップといったカジュアルな場所でチップを支払うのは、アメリカ人の1/4程度とのことです。

チップの相場はいろいろ

ここでは一般的な相場を記しましたが、お店のグレード(一般的なレストランなのか高級レストランなのか)やサービスの内容などによってもチップの金額は変わります。

特に近年はチップの相場が高騰している(チップフレーション)ので要注意です。

なので、旅行プランを立てる際などは、自分が行くお店や利用するサービスと一緒に、チップをいくら払えばよいのか調べておきましょう。

チップは税抜き価格で計算すべき

チップは税込みではなく、税抜き価格で計算するべきだと金融プランニング会社アウトルック・ファイナンシャル・センターの最高経営責任者(CEO)兼投資アドバイザーの、ロブ・バーネット氏はUSA TODAYの取材に語っています

税率は都市によって異なり、サービスとは関係がないため、チップは税抜き価格で計算するべきだ

チップの払い方

チップの支払いは、状況によって様々です。

現金

チップは現金で渡すのが一般的です。

レストランでは料金と一緒にまとめて支払える場合もありますが、ホテルなどではサービスを受ける都度、スタッフに現金を渡す事になります。

そのため、細かい支払いが必要になるので、チップ用に1ドルの硬貨や紙幣を多く持っておくのがオススメです。

アメリカではありませんが、筆者は海外に行った時、チップを支払うために意識的にお財布の中に1ユーロの硬貨を用意していました。

日本円で例えるなら、意識的に100円玉を財布の中に気持ち多めに持っておくイメージです。

クレジットカード

レストランやホテルなどでは、クレジットカードの支払い時にチップを追加することができます。

支払い時に「Tip」や「Gratuity」と記載された欄に金額を記入します。

また、サービス料として事前に料金に含まれている場合もあります。

アプリ

一部のタクシーやライドシェアサービス(例:Uber、Lyft)では、アプリを通じてチップを支払うことができます。

利用後にアプリ内でチップの金額を設定し、支払いを行います。

まとめ

アメリカでのチップの習慣は、旅行者にとって慣れないものかもしれませんが、現地のマナーとして重要です。

適切な相場と払い方を理解しておくことで、スムーズに旅を楽しむことができます。

ただし、チップ文化も他の文化と同様、時代や場所によって変わるものです。

近年はアメリカでも、チップ廃止の動きが出たり、逆にチップの相場が上がったりと、チップのあり方が変化しています。

実際、当のアメリカ人でさえ適切なチップの支払いについてよく分かっていません。

ほとんどのアメリカ人にとって、レストランで食事をする際にチップを渡すのは一般的な習慣ですが、それ以外の状況でのチップの渡し方については、やや曖昧な点があるようです。ホテル宿泊、ヘアカット、ライドシェアなどの場合、いつ、いくらチップを渡せばいいのか、よくわからないという人も多いようです。

出典:Some Americans aren’t tipping enough, Pew Research poll finds

なので、アメリカ旅行に行く際は、事前に行く場所や最新の情報をチェックし、適切なチップの金額や支払い方を押さえておくことが大事です。

チップはサービスに対する感謝の気持ちを表すものであり、サービス業従業員の生活を支える重要な要素です。チップ文化を尊重しながら楽しい旅を過ごしましょう!

関連記事:ニューヨークのチップ事情は?相場や払い方を解説

参考