米スタバが導入したクレジットカードのチップ支払い機能に客からは不満の声

スターバックスのセイレーン(人魚)

世界最大のコーヒーチェーンであるスターバックスが2022年にアメリカでクレジットカード決済でのチップ支払い機能を導入したところ、顧客からは不満と困惑の声が出ました。

近年アメリカではチップ文化に不満を持つ人が増えていますが、この一件は代表的な事例の1つです。

スタバのクレジットカードによるチップ支払い機能とは?

2022年にスターバックスは労働組合の要望に応え、アメリカで新しい「チップ支払い機能」を導入しました(ただし、導入されたのは非組合店舗のみ。労働組合の組織者はこれを労働者を脅迫する試みと見ています)。

それがクレジットカードもしくはデビットカードで支払いを行う際に、チップの支払いができる機能です。

クレジットカードで支払いをしようとした時、画面にチップを1ドル、2ドル、それとも5ドルから選ぶように促す選択画面が表示されたのだ。

スターバックスの買い物客は長年、現金またはアプリでチップを支払うことができた。しかし、最近ではクレジットカードでの支払い時にもチップの選択画面が表示されるようになった。買い物客は、「チップなし」を選択する場合でも、この選択肢に答えなければ決済を完了できない。

出典:Should coffee at Starbucks require a tip? New prompt sparks misplaced outrage

なお、このチップ機能で支払われた機能はその店舗のバリスタ全員に分配されるものであり、直接接客したバリスタのみが受け取る訳では無いとの事。

スターバックスのこの機能について、ネットでは困惑する意見がみられます。

ケチだと言われるでしょうが、テイクアウトやコーヒーを頼んだ時にチップを払うことは滅多にありません。夕食を食べたり、色々なサービスを利用したりする時は、ちゃんとチップを払います。ドライブスルーでコーヒーを頼んだ時に25%のチップを渡すなんて、正直言って気が進みません。皆さんはどう思いますか?

出典:Starbucks has a new tipping system and customers have a lot of feelings about it | Fortune

スターバックスは顧客からのチップに頼るのではなく、従業員にもっと給料を払うべき」だと主張する人も大勢いるようです。

「スターバックスは本当にチップサービスを導入したのか?!馬鹿げたほど高価な商品を通じて従業員にもっと給料を払えばいいだけなのに」とあるユーザーは書いた。

「小規模なビジネスであれば、このチップ制度には大賛成だ。スターバックスでは絶対にチップ不要だ」と別のユーザーが付け加えた。

出典:Starbucks fans furious over new ‘awkward’ tipping system | Fox Business

「従業員の給料はチップで賄うのではなく、企業が適切な賃金を支払う事で対応すべきだ」という意見は、スターバックスのチップ支払い機能に限らず、チップ制に対する批判でよく見かける意見です

バンクレートの調査によれば、アメリカの成人の41%は、企業は顧客のチップに頼るのではなく、従業員にもっと給料を払うべきだと考えています。)

スターバックスの新しいチップ機能に困惑しているのは顧客だけではありません。バリスタからも、「顧客にチップを渡すかどうか尋ねるのは気まずい」という声が上がっていると米ビジネスメディアのFox Businessは報じています

また、チップそのものの是非ではなく、支払いを行う際に手順が1つ増えた事を批判するバリスタの意見もTikTokで話題になりました

スターバックスのチップ選択画面は、店内注文では多くの人がこのサービスを喜んで利用していますが、ドライブスルーでもこのシステムが導入されたため、TikTokでは多くの顧客が「本当にチップを渡す必要があるのか​​」と議論する事態になっていると米メディアのThe Daily Dotは伝えています

実は好評?

メディアやネットで不満や困惑の声があがっているスターバックスのチップ支払い機能ですが、中には好意的に受け止めている方も多くいます

実際、スターバックスの広報担当者は、クレジットカードまたはデビットカードでの購入のほぼ半数にチップが含まれており、「チップに関しては、お客様とパートナー(従業員)の両方から非常に好意的なフィードバックをいただいています。」と述べています。

ネットの評判の中にも、「私は高級コーヒーの作り方を知らないので、100%チップをあげます」という肯定的な意見があります。

まとめ

チップはアメリカに根付いてる文化ですが、全ての人が受け入れている訳ではありません。むしろ、多くのアメリカ人がチップ文化に不満を抱いたり、困惑したりしています

出費が増える上に、(まさにスターバックスのような)これまではチップの支払いが不要だったコーヒーショップやファストフード店でもチップを求められる事が増えている為です。

事実、アメリカのチップ文化は「手に負えなくなっている」として、TikTokでは白熱した議論が起こっています

スターバックスのチップ支払い機能に限らず、チップ文化は今後もアメリカ社会を悩ませそうです。

関連記事:アメリカ人が「チップ文化は手に負えない」と感じている3つの理由

参考