母親が子供(実子)を殺したニュースを見ていて、「殺人なのにとても罪が軽い」と思った事はありませんか?
もしあるなら、その感覚は正しいです。
実は、女性による殺人の中でも、自分の子供を殺した場合…いわゆる子殺しは特に罪が軽くなる傾向にあり、なんと事件の約6割に執行猶予がついています。
この記事では、女性による殺人についての論文「女性による殺人罪の量刑の変化」から、女性による子殺しに関する情報を紹介します。
女性による子殺しの量刑
以下が女性の殺人事件における量刑です(赤い線で囲まれた範囲が被害者が実子のケース)。
(画像:茂澄遙人 / Twitter)
また、被害者が新生児(生後4週間までの子供)の場合の執行猶予率はなんと83.3%となっています。
論文では、女性の実子殺しは被害者(子供)が幼ければ幼いほど罪が軽くなる傾向にあると記されています。
実子殺については,すべてのカテゴリーが軽減的方向に評価されているという点では共通するが,その機能は実子が幼いほど強く,子が成長するにつれてその軽減的評価は弱まっていく
右側の「懲役・実刑」の項目を見ると、仮に実刑判決が下った場合も、10年以上の懲役にはならない事がわかります。
この論文が発行されたのは2008年と古いですが、母親の子供に対する虐待や殺人が他の犯罪と比べて軽い罪になっているのは、現在でも変わりません。
国際政治学者の六辻彰二(むつじしょうじ)氏はこう述べています。
現在の日本の法律は、他の先進国と比較して、理不尽な親から子どもを守るうえで十分ではありません。虐待する親に甘い法律は、「親の躾」や「家庭の不可侵」を重視する思考に支えられているといえます。
(中略)
日本の場合、深刻な事態に至る前の段階での刑罰が軽い傾向があります。
児童虐待防止法では、虐待の恐れがある場合、子どもに親が付きまとうことを都道府県知事が禁止でき、違反者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。しかし、それ以外の罰則は同法では定められておらず、身体的な暴行などは一般の暴行罪などが適用されます。また、育児放棄などの児童虐待そのものへの刑罰もありません。
これに対して、欧米諸国では死に至る前の段階から、虐待には厳しい刑罰が待っています。
他国と比べ、日本では児童虐待に対する刑罰が軽い傾向にあるようですね。
まとめ
命の重さは皆同じはず…
しかし、現実には女性の殺人事件は相手が子供(実子)で、しかも幼ければ幼いほど軽くなる傾向にあります。
罰するだけが正義ではありませんが、これで良いのか疑問が残る所ではないでしょうか?
参考
いつまでが新生児?期間や特徴、乳児と幼児の違いも解説-おむつのムーニー
なんかすごいデータを発見。女性による殺人の量刑を、被害者との関係別にまとめたもの。
女性による子殺しの6割以上に執行猶予がつき、実刑を食らった場合でもすべて10年未満で、最頻は5年以下というもの。
元の論文はPDFで、URLはこちら→ https://t.co/j6wvVHm7FK pic.twitter.com/Kx68XaZKB2
— 茂澄遙人💊 (@mosumiharuto) May 13, 2022