シリコンバレーの伝説的投資家であるピーター・ティール氏が、アレックス・カープ氏らと共に創業したデータ分析企業のPalantir(パランティア)。
この風変わりな社名の意味や由来は何なのでしょうか?
社名の由来
社名「Palantir」は、J・R・R・トールキンの小説「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」などに登場する万事を見透かす魔法の水晶玉「パランティーア」から採られています。
Palantir Technologiesの共同創業者/チェアマンのPeter Thiel(ピーター・ティール)氏は、まず同社の社名となっている“Palantir”がJ. R. R. Tolkienの小説「指輪物語」などに登場する「遠隔から世界を見通す魔法の石」の名前から採ったものだと紹介し、「この石のようにビッグデータを通じて世界を見通し、世界をよりよく理解していきたい」という想いを込めたと語った。
「パランティーア」という名前は、クウェンヤ(作中の言葉)で「遠くから見張るもの」を意味します。その為、「見る石(Seeing Stone)」と呼ばれる事もあります。
複数形は「Palantíri(パランティーリ)」で、英語圏ではこちらの表記も多く見ます。
Palantirの綴りは、会社名が「Palantir」なのに対し、元ネタの指輪物語では「Palantír」と綴ります(「i」ではなく、Iにアキュートアクセントを付した「Í」)。
余談ですが、Palantirのスタッフは「Palantirian(パランティリアン)」と呼ばれています。
パランティーアとは?
指輪物語に登場するパランティーアは破壊不可能な暗い水晶玉です。

覗き込んで遠方を見たり、パランティーア同士で交信を行ったり、過去・現在・未来の映像を見ることが可能です。
パランティリはシーイングストーンとしても知られ、様々な用途がありました。人々は2つのパランティリを使って遠く離れた場所から互いに話すこともありましたが、このアーティファクトは単なる通信機器よりもはるかに強力でした。パランティリは知識を得るために使用することができ、時には使用者に過去や現在のビジョンを見せることもありました。いくつかの理論では、希少なパランティリが未来を垣間見せてくれると示唆していますが、このようなことは証明されていません。一部の強い者は、パランティリを使って他人の心を覗き込み、心の意図を知りました。
出典:The Lord of the Rings: The Rings of Power’s Palantíri, Explained
以下は2001年の映画「ロード・オブ・ザ・リング」で、魔法使いのサルマンがパランティーアを使用するシーンです。
Palantirに込めた想い
創業者のピーター・ティール氏は指輪物語の大ファンで、日本法人を設立した際に、「この石(パランティア)のようにビッグデータを通じて世界を見通し、世界をよりよく理解していきたい」という想いを込めて名付けたと語っています。
確かに、Palantirが提供している製品は顧客が持つ膨大なデータを統合、管理、保護、分析して、的確な経営判断や政策決定を支援するソフトウェアです。そうした性質を考えれば、会社の名前を「パランティア」と名付けるのも納得です。
しかし、物語のパランティーアは覗く者を堕落させる為、クラウドセキュリティーサービスを提供するオルカ・セキュリティの情報セキュリティー専門家でトールキンのファンだというアンディ・エリス氏は「企業名がパランティアなんてばかげてると常々思ってきた」と述べています。
余談:ピーター・ティールは指輪物語の大ファン!
指輪物語の大ファンであるピーター・ティール氏は、「Palantir」以外にも指輪物語から命名を行っています。
例えば、カリフォルニア州パロアルトにあったPalantirの本社は、指輪物語に登場する地名にちなみ「シャイア」と呼ばれています。
また、ティール氏が創業したベンチャーキャピタルであるMithril CapitalとValar Venturesは、それぞれ指輪物語に登場する神格「ヴァラ」と架空の金属「ミスリル」からヒントを得て命名されています。
Facebook株を保有する為に立ち上げた持ち株会社の「Rivendell One」と「Lembas」もそれぞれ指輪物語にちなんだ名前です。
