アイルランドではどんな言葉が話されているのでしょうか?英語は通じるのでしょうか?
アイルランドの言葉について解説します。
アイルランドの言語は?
アイルランドでは、憲法でアイルランド語が第一公用語、英語が第二公用語と定められています。
街中の表記(例えば標識など)も、アイルランド語と英語が併記されています。
アイルランド語とは?
アイルランド語はゲール語の一種です。その為、アイルランド語の事を「ゲール語」と呼ぶ資料もあります。
外務省のウェブサイトでは、アイルランドの公用語について「アイルランド語(ゲール語)及び英語」と記しています。
アイルランド語は国語の1つとしてすべての学校で必修科目となっている他、公務員に就くには必須科目となっています。
日常的に使われてるのは「英語」
アイルランドではアイルランド語が公用語として定められています。
しかし、アイルランドでは日常的に英語が使用されており、アイルランド語はほとんど使用されていません。
今ではアイルランド語を話せないアイルランド人も多く、アイルランド語の話者はたったの2~3%で、日常的に使用している国民は1%にも満たないと言われています。ちなみに、2022年の国勢調査によると、アイルランドの人口は約515万人です。
ゲールタハト
アイルランド語(ゲール語)を日常的に話す地域のことを「ゲールタハト(Gaeltacht)」と呼びます。
アイルランド政府はゲールタハトを公式に認定し、支援を行う事でアイルランド語の保存と復興に努めています。
ゲールタハトは主に西部沿岸(ゴールウェイ県、ドニゴール県、ケリー県など)に集中しています。
なぜアイルランド語ではなく英語を使うのか?
なぜアイルランドでは、母国の言葉であるアイルランド語ではなく、外国語である英語が広く普及しているのでしょうか?
その背景には、イギリスの植民地となった歴史があります。
アイルランドでは、11世紀初めにはアイルランド語が日常で広く使用されていました。
しかし、15世紀にアイルランドがイギリスの統治下におかれ、イギリスからやってきた移民が影響力を持ち始めると、言葉も英語が優勢になります。
1801年にアイルランドが正式にイギリスの一部となると、公的な場でのアイルランド語の使用が禁止されます。これにより、アイルランド語は急速に衰えました。
こうした背景があるため、20世紀にアイルランドがイギリスから独立しても、アイルランドでは英語が使用されているのです。
1891年の調査では、アイルランド国民の85パーセント以上が英語しか話せなかったといいます。
こうした経緯もあり、アイルランドで話される英語はイギリス英語と同じ語彙が多く使われています。
まとめ
他国に支配されていたが故に、自国の言葉が廃れてしまったというのは悲しい話ですね。
しかし、アイルランドに旅行やビジネスで訪れる方にとっては、英語が使えることは嬉しい点ではないかと思います。