国民年金が払えない場合の対処法(保険料免除制度・納付猶予制度)

フリーター(アルバイト)やニート、無職の方が国民年金保険料を払えない場合にはどうしたら良いのでしょうか?

実は国民年金には収入が少ない方のために年金の納付(支払い)を免除、猶予する制度(保険料免除制度・納付猶予制度)があります。

国民年金の支払いを免除・猶予する制度

国民年金保険には失業などにより収入が減少した方やフリーターやパートなど収入が少ない方、ニートや無職の方など収入がない方等、年金を納めることが経済的に困難な方のために年金の支払いを免除、猶予できる制度が用意されています。

それが「保険料免除制度」と「納付猶予制度」です。

これらの制度は所得(収入)が条件を下回っている方なら誰でも利用できます。障害の有無や仕事の種類などは関係ないので安心してください。

保険料免除制度とは

「保険料免除制度」は名前の通り、条件を満たすと国民年金保険料が免除される制度になります。

所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、ご本人から申請書を提出いただき、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。

保険料免除の承認基準(所得の基準)は以下の通りです。

  1. 全額免除前
    年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
    (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
  2. 4分の3免除
    前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
    78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  3. 半額免除
    前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
    118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  4. 4分の1免除
    前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
    158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

この制度は本人の所得だけでなく、世帯主と配偶者の所得が対象となるので注意してください。例えばフリーターやパートで所得が少ない方でも、配偶者の所得が多い方や実家暮らしで世帯主の所得が多い場合等は対象となりません。

年金が免除されても受給資格期間に算入される

年金の支払いが免除された期間も年金の受給資格期間にしっかりとカウントされます。ただし、将来もらえる年金はその分少なくなります。

具体的には以下の通りです。

  1. 全額免除
    平成21年4月分からの保険料の全額が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(平成21年3月分までは3分の1)が支給されます。
  2. 4分の3免除(納めた保険料額 4,140円:令和2年度)
    平成21年4月分からの保険料の4分の3が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の5/8(平成21年3月分までは1/2)が支給されます。
  3. 半額免除(納めた保険料額 8,270円:令和2年度)
    平成21年4月分からの保険料の2分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の6/8(平成21年3月分までは2/3)が支給されます。
  4. 4分の1免除(納めた保険料額 12,410円:令和2年度)
    平成21年4月分からの保険料の4分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の7/8(平成21年3月分までは5/6)が支給されます。

納付猶予制度とは

「納付猶予制度」は条件を満たすと国民年金保険料の納付が猶予される制度になります。

20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、ご本人から申請書を提出いただき、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます。

保険料免除の承認基準(所得の基準)は以下の通りです。

納付猶予制度
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

こちらは先ほどの保険料免除制度と違い、対象となるのが本人と配偶者だけです。そのため、世帯主に所得があっても制度を受けることができます。

例えば、実家暮らしで独身のフリーターの方は世帯主である親に十分な所得があっても、自身の所得が少なければ制度の対象となるということです。

なお、制度の名前に猶予とありますが、実際には支払う必要がなくなるので実質免除と同じです。保険料免除制度との違いは、年金額に反映されないことです。年金額に反映されないため、将来もらえる年金(受給額)は増えません。

納付猶予の期間は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間にカウントされますが、老齢基礎年金額の受給額が増えることはありません。

将来もらえる年金を増やしたい方は追納ができる

これらの制度を使って年金の支払いを免除・猶予した場合、将来もらえる年金が通常通り全額納付した場合と比べて少なくなってしまいます。

「支払う年金が減免、猶予されるのは嬉しいけど、将来もらえる年金が減ってしまうのは残念…」という方もいるかもしれません。ですが、安心してください。

年金には「追納」というものがあります。

追納とは

年金は「保険料免除制度」や「納付猶予制度」を使って支払いをしなかった場合も、10年以内であれば後から減免、猶予した分について年金を支払うことができます。

これが「追納」です。

追納することで将来もらえる年金の額を満額に近づけることができます。

ですので、「今、年金を支払うのは難しいが、将来もらえる年金が減ってしまうのも不安だ」という方も安心してください。

今は経済的に苦しくても、将来余裕ができたら追納を検討してみると良いでしょう。追納する場合は、将来の年金が増えるだけでなく、社会保険料控除により、所得税・住民税が軽減されるというメリットもあります。

追納を検討している方は市役所や年金事務所等に相談してみましょう。

未納(放置)は大問題

お金がなくて年金が支払えない方は少なくないと思います。ですが、支払いを放置して年金を未納(滞納)してしまうのはよくありません。

年金を未納にしていると将来年金がもらえないのはもちろんですが、自宅に年金を払うよう手紙(催促状)や電話がきます。最悪の場合には「財産差し押さえ」が執行されることもあります。

財産差し押さえになると、最低限の生活費を除いた給与や銀行口座内の貯金が強制的に没収されます。それでも足りない場合は自宅や車なども強制的に取られてしまう可能性があります。しかも、財産の差し押さえは自分自身だけでなく、配偶者や世帯主の財産も対象となります。

なお、2017年は催促状による催促が66,270件あり、実際に財産を差し押さえられたのが14,344件ありました。ちなみに年金の加入者は6,000万人以上、そのうち未納の方が157万人です。(ここで言う未納は当記事で紹介したような制度を利用していない方です)

参考:公的年金制度全体の状況・国民年金保険料収納対策について

まとめ

国民年金は国が運営している制度です。そのため、これらの減免制度は市町村や都道府県に関係なく使うことができます。申請も市役所等でカンタンにでき、審査等も特になく、条件を満たしていれば誰でも利用できます。

筆者も持病があって働けず、収入が少ない時にこの制度を使いましたが、カンタンに申請でき問題なく納付が猶予されました。

所得(収入)が少なく、年金を払えない方は活用してみると良いでしょう。

また、今回紹介した「保険料免除制度」と「納付猶予制度」以外にも国民年金の支払いを免除、猶予してくれる制度はいくつかあります。滞納する前に一度、制度を調べてみたり、市役所や年金事務所等に相談してみましょう。

*この記事は日本年金機構の公式ウェブサイトの情報等を参考に執筆されました。制度の詳細を知りたい方はぜひウェブサイトを確認してみてください(以下のリンクから日本年金機構のウェブサイトにアクセスできます)。

参考:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構