米国(アメリカ合衆国)の政治系ニュース・アグリゲーター(ニュースまとめサイト)である「ドラッジ・レポート」について解説します。
概要:Drudge Reportとは?
名前 | Drudge Report(ドラッジ・レポート) |
ジャンル | 政治 |
タイプ | ニュース・アグリゲーター |
URL | www.drudgereport.com |
日本版 | 無し |
開始日 | 1994年(ニュースレター)、1997年(ウェブサイト) |
運営者 | マット・ドラッジ他数名 |
ドラッジ・レポートはマット・ドラッジ氏が1994年から運営している政治系ニュース・アグリゲーターです。
米国および国際的なメディアの政治、エンタメ、時事問題に関する記事へのリンクを、ドラッジ氏が独自の見出しを付けて掲載しています。
また、たまにドラッジ氏が自ら執筆した記事もあります。
歴史
1994年にニュースレター(メルマガ)としてスタート。
1997年にウェブサイトを開設。
1998年、ニューズウィーク誌がビル・クリントン大統領とホワイトハウスのインターンであったモニカ・ルインスキー氏の”不適切な関係”についての情報(クリントン=ルインスキー・スキャンダル)を握っている事を暴き、名声を得た。
影響力:全米のメディアに膨大なアクセスをもたらしている
ドラッジ・レポートは、マット・ドラッジ氏と数名のアシスタントという超小規模なチームで運営しているにも関わらず、米国で絶大な影響力を誇っています。
その影響力は並みのニュース・アグリゲーターを超えており、特にニュースや政治を扱うメディアにとって、その影響力は無視できないものになっています。
ドラッジ・レポートのイデオロギー(政治的スタンス)は右派~中道右派ですが、ドラッジ・レポートはイデオロギーの異なるメディア…例えばThe New York Times、Bloomberg、The Washington Postなどにも何百万ものページビュー(アクセス)を送っています。
Facebookからのアクセスが圧倒的多数を占める保守系ニュースサイト「Independent Journal Review(IJR)」にとって、ドラッジ・レポートはありがたい存在だと言います。
IRJの記事がドラッジ・レポートに取り上げられると、アクセスが急増すると、プログラマティック・セールスと広告運用の責任者であるKatie Steiner氏はDigidayのイベントで語っています。彼女曰く、「ドラッジはまだFacebookに勝てる」。
サイト情報
サイトの月間PVは2015年に7.5億、2016年時点で14億7200万です。
2012年時点の年間収益は1,500万ドル(約18億円)から2,000万ドル(約24億円)と言われています。
発行人
ドラッジ・レポートの創業者はマット・ドラッジ氏です。
ドラッジ・レポートには発行人欄が無いため、分かりにくいですが、サイトの運営にはドラッジ氏以外に、数名のアシスタントも協力しています。
例えば、2010年にはワシントン・タイムズの元ホワイトハウス特派員であるジョー・カール氏やワシントン・タイムズのコラムニストでニューヨーク・ポストの元DC支局長であるチャールズ・ハート氏がスタッフとして加わっています。
デザイン
Google NewsやSmartNewsなど、多機能なニュース・アグリゲーターが登場する中で、ドラッジ・レポートのウェブサイトはドラッジ氏がピックアップした注目の記事へのリンクと数枚の写真、そして広告をトップページに掲載しただけのシンプルなウェブサイトです。
タイトルは「Drudge Report」であるが、ロゴやタイトルタグ(検索等に表示されるタイトル)等は全て大文字の「DRUDGE REPORT」となっている。
また、タイトルタグではサイト名の横に西暦が掲載されている(DRUDGE REPORT 2024®)。
論調:政治的立場は保守
ドラッジ・レポートは政治的に保守的なウェブサイトで、掲載しているリンクは右翼に偏ったセンセーショナルな記事が多くなっています。
中にはZeroHedgeやInfoWarsといった信憑性に難があるニュースやBreitbart、WND、Gateway Pundit、Daily Mailといった非常に右翼に偏ったニュースも掲載しています。
かつては、オバマ大統領に関する陰謀や、不法滞在の子どもは暴力犯罪者であるといった、論破された数々の陰謀論を紹介してきました。
一方で、AP通信、ロイター、The Atlanticなど、より信頼性が高く、バイアス(政治的偏向)が弱いニュースや左派のメディアのニュースも掲載しています。
ドラッジ・レポートは過去2年間に事実確認に失敗したことはなく、信頼性が高いニュースへのリンクを掲載しています。
右派から中道右派へ
また、ドラッジ・レポート(および運営者のマット・ドラッジ氏)はドナルド・トランプ氏の熱心な支持者で、2016年の大統領選におけるトランプ当選に大きな影響を与えました。
2019年にはトランプ氏自ら、Twitterにドラッジ・レポートのスクリーンショットを投稿しています。
We can all agree that AMERICA is now #1. We are the ENVY of the WORLD — and the best is yet to come! pic.twitter.com/Uc81DzHbu2
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) May 3, 2019
しかし、2018年からドラッジ氏はトランプ氏と距離を置き始め、主に国境の壁や移民に関するトランプ氏の公約破りを公然と批判するようになりました。
近年、ドラッジ・レポートは右派から中道右派へと緩やかに変化しています。
この立場の変化により、熱心なトランプ支持者の中には、ドラッジ・レポートをリベラル左翼のメディアと評価する者もいます。
ダン・ボンジーノ氏は、ドラッジ氏の”裏切り”を受け、保守派とリバタリアンのコンテンツのみを掲載するニュース・アグリゲーター「Bongino Report」を開設し、「ドラッジはあなたを見捨てた。私は決して見捨てません。」と述べています。
関連サイト
- Matt Drudge(@DRUDGE) / Twitter(ドラッジ氏のTwitterアカウント。ほとんど更新されていません)
- Matt Drudge(@mattdrudgelive)(ドラッジ氏のInstagramアカウント)
- Refdesk.com(ドラッジ氏の父親であるロバート・ドラッジ氏によるサイト)